そのために、伝統的な技法が役に立つこともある。断食や氷風呂といえば、イビサ島の豪邸に住み、自身の健康的なライフスタイルを喧伝する現代のインフルエンサーを思い浮かべるかもしれない。しかし、これらの方法はローマへの道と同じくらい古いものだ。ローマのストア派哲学者であったセネカ(紀元前4年頃~西暦65年)も、よく氷水に浸かっていた。健康に良い行為でもあったが、これは苦難に耐えるための鍛錬だった。
自宅のベッドで横になっているときは、空腹や凍えるような寒さを心配することはないだろう。だが頭の中で不安や恐れの原因について考えることで、逆境にうまく対処できるようになる。「明日、仕事を失ったら?」「重要なプレゼンテーションのときにみんなに笑われたら?」といった状況を具体的にイメージしておけば、実際にそのような事態が起こっても動揺しにくくなる。
私たちは、人生は思い通りになるものだと思い込みがちだ。たしかに、すべてが順調に、計画通りに進んでいるように見えることもある。だが突然、思いもかけない出来事が起こり、状況が一変してしまう。そんなとき、どうすればいいのだろう?
「パートナーに別れを告げられたら?」「解雇されたら?」「パンデミックが発生したら?」
人生経験を積んだ人なら、こうした事態は起こり得ると知っている。挫折は人生の一部だ。私たちは情熱的な夢を抱き、人生で成し遂げたいことへの期待に胸を膨らませる。その一方で、失敗を経験したときに強い痛みも感じる。
挫折に対処しながら、未来に目を向ける
物事がうまくいかなかったときに自分を責めるのは、傷口に塩を塗るようなものであり、自分を過去に閉じ込めるだけだ。そうではなく、失敗から学び、未来に目を向けることもできる。ストア派哲学者なら、夢への期待を抱くには、それが叶わなかったときに生じるネガティブな感情に囚われないことが条件だと言うだろう。夢が叶わないことは、現実に十分に起こり得る。確約された成功など存在しないが、挫折に対処しなければならないのは紛れもない人生の現実なのだ。


