飯島直子は、まさにこの「比較対象」になりやすい立場からキャリアを始めた人物だ。近寄りがたい美人というより、まさに“癒し系”の身近に感じる美人ーー。そんな親しみやすさが男性人気を支えてきた。だからこそ、天海祐希のようなカチッとした美人女優よりも、女性が脅威に感じやすい存在だ。
そんな彼女が、老眼や白髪、握力の低下といった"隠したくなるはずの弱さ"を、あえて隠さず見せるようになった。
このとき起きているのは、単純な好感度アップではないだろう。「もう、この人と自分を比べる必要はない」——そう感じた瞬間、相手は“脅威”のカテゴリーから外れ、“同じ立場の仲間”へと変わる。比較の土俵そのものから、相手が自発的に降りてくれたように見えるからだ。
内田有紀との老眼鏡のエピソードは、まさにこの「対等な関係性」が実際に成立していることを示す例と言える。飯島に起きているのは、まさにこの「脅威解除」なのである。
「宝塚の男役」に憧れる女性は多いが、「女形」に憧れる男性は少ない
ここまでの話は、女性同士の視線を軸にしたものだ。男性読者の中には、「そんなに複雑な感情が働くものなのか」と、やや実感が湧きにくい人もいるかもしれない。
実は、この「同性への複雑な感情」は、男女で強度も表れ方も異なることが研究でも示されている(※3)。男性同士の比較は主に地位や能力を巡って生じやすいのに対し、女性同士では外見を軸にした比較がより頻繁に、より強く働く傾向がある。
女性が天海祐希のような宝塚の男役に憧れる気持ちも、実は男性にはやや理解しにくい構造を持っている。

