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西川貴教(55)「THE FIRST TAKE」で圧巻パフォーマンス 98年発表曲の「HOT LIMIT」が懐古趣味に終わらなかった奇跡

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西川貴教 HOT LIMIT THE FIRST TAKE
(画像:西川貴教公式Xより)
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普通のミュージシャンであれば、そういう部分を指摘されたり揶揄されたりしたら、機嫌を損ねたりすることもあるかもしれない。しかし、西川はむしろ自分からその輪の中に入っていった。自分の衣装や演出が面白がられていることを理解し、他人より先に自分でネタにしてしまう。それによって、視聴者との間に独特の親密さを築いた。

ただし、西川は笑いを取るために歌手としての格を下げているわけではない。むしろ、歌唱力に絶対的な自信があるからこそ、歌以外の部分では余裕のある振る舞いをすることができるのだ。

今回の「THE FIRST TAKE」でも、最初にボディビルダーのようなポーズを取った瞬間には、視聴者の多くがにやりとしたはずだ。しかし、歌が始まれば、印象は一変する。28年前の楽曲を歌う企画が単なる懐古趣味に終わらなかったのは、現在の西川が、当時に劣らないどころか、歌手としてさらに鍛え上げられていたからだ。

見せ物ではない使える筋肉

年齢を重ねてからも歌唱力を維持することは、決して簡単ではない。特に「HOT LIMIT」のように、高音域を強い声で押し出し続ける楽曲は、体への負担も大きい。西川が肉体を鍛えていることは広く知られているが、その筋肉は単なる見せ物ではない。呼吸、姿勢、体幹といった歌唱の基礎を支えるものでもある。さらに、その裏側には、継続的なボイストレーニングやコンディション管理があると考えるべきだろう。

1999年当時の西川貴教。節制とトレーニングにより、今も当時と変わらぬ若々しさを保っている(写真:時事)

つまり、西川貴教という人物には、表面上の軽さと、内面の厳しさが同居している。人前ではサービス精神旺盛なお調子者として振る舞う一方、舞台に立つための準備は怠らない。本人が努力を深刻そうに語らないため見えにくいが、実際にはきわめて職人的であり、プロフェッショナルとしての自律性が高い歌手である。

この二面性こそが、彼が一過性の人気者で終わらなかった理由だろう。面白いだけの歌手であれば、一時的な流行が終われば消えていってしまう。歌が上手いだけの歌手が、音楽番組が減少した今の時代に存在感を維持するのは難しい。

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