西川は、歌唱力、トーク力、自己演出力、身体性、そして時代への適応力を併せ持っている。平成のテレビ全盛期にはバラエティ番組で活躍し、現在はSNSやYouTubeの文法を理解して、自ら話題を作ることができる。
地道な草の根活動にも精を出す
近年は、故郷である滋賀県を盛り上げる活動にも力を入れてきた。2009年からは、琵琶湖の環境保全と地域振興を掲げる「イナズマロックフェス」の発起人として、長年にわたってイベントを継続している。フェスの収益の一部や会場で集めた募金を、琵琶湖の環境保全などのために寄付する活動も行ってきた。このような地域とのかかわりや行政関係者との交流から、将来的な政界進出や滋賀県知事への転身を期待する声まで聞かれるようになった。
この活動にも彼のキャラクターとプロ意識が表れている。大きな構想を掲げるだけではなく、毎年イベントを成立させ、行政や企業、出演者、観客を結びつける。そこでは芸能人としての華やかさだけでなく、調整力や責任感が求められる。
ステージ上では奔放に見える西川が、実際には現実的な感覚と運営能力を持っていることがわかる。彼は社会的な責任感とプロデューサーとしてのセンスを備えた現代的なアーティストなのだ。
今回の「THE FIRST TAKE」で披露された「HOT LIMIT」が感動的だったのは、単に昔と同じだったからではない。若い頃と変わらないパフォーマンスを見せるために、西川が長年にわたって変化し続け、鍛錬を続けてきたことが見る人にも伝わったからだ。笑われることを恐れないサービス精神と本物の歌唱力。その両方を持ち続けているからこそ、西川貴教は今もなお多くの人々から愛されているのだ。

