会見での質疑の中で、山本氏は「国会議員にはもうなりませんよ、ってことです。ハハハハッ、やめた! やりません、もう」などと、深刻さをまったく感じさせない笑顔と軽薄ともとられかねない口調で引退を宣言。これには、詰めかけた記者団も戸惑いを隠さなかった。
れいわ設立時に「この国に生きる人々にお仕えし、お守りいたす」と悲壮感を漂わせて国政に挑む決意を表明した山本氏。政界関係者の多くは「そのカリスマ性と、軽妙だが真剣みあふれる話術が有権者の心に刺さり、れいわという新興政党の躍進につながった」(選挙アナリスト)と口をそろえる。
7年間の活動を身近で支えてきた側近らは、山本氏の存在意義について「れいわを支持してきた有権者は、山本氏について『“左”や“右”の思想に関係なく、とにかく不満や鬱憤のたまった日常を打破し、私益私欲に走る政治家を懲らしめてくれる人物』と信じていた」と語る。
れいわと参政党は「コインの表裏」
政界の現状に視点を移すと、「山本氏にとって代わりつつあるのが、“超タカ派”の参政党・神谷宗幣代表」(政治ジャーナリスト)との声が少なくない。神谷氏は「“日本人ファースト”を掲げ、大衆に“反エリート”を訴えかける点では、山本氏と共通している」(自民党長老)からだ。
年明けの衆院選で、参政党は24年の3議席から15議席へ5倍増となり、衆院で5番目の中堅政党となった。この躍進の要因について、政界では「山本氏を見限ったれいわ支持者を取り込んだ結果」(選挙アナリスト)との指摘が相次ぐ。
こうしてみると、今回の「山本れいわの消滅」と「参政党大躍進」はコインの表裏の関係にも見え、政界総保守化に直結しつつある。
政界は、保守派で知られる高市早苗首相(自民党総裁)の誕生から間もなく9カ月を迎える。年明けの衆院選での自民党の歴史的大勝を受けて、自民党と日本維新の会の連立による高市政権は、今国会成立が確実視される皇室典範改正をはじめ、国旗損壊罪など数々の「国論を分断する“タカ派政策”」(自民党長老)の実現に突き進んでいるのが現状だ。
そうした中での“れいわ消滅”をきっかけとする革新左派勢力の総後退は「中央政界のさらなる保守化につながる」(政治ジャーナリスト)ことは否定しようがない。その一方で、「軍備拡大などによる“戦争ができる国”への道筋を危惧する国民の声が日増しに拡大している」(同)とされる。
結果的に、山本氏の“軽挙妄動”の責任は小さくない。今後は、政界と国民の意識の乖離に高市首相らがどう対応するかが日本の進路を占うカギとなりそうだ。

