羽毛田氏は旧厚生事務次官から01年に宮内庁次長となり、05年4月に長官に就任。同年11月の小泉政権下での有識者会議において、女性・女系天皇を認め、継承順は男女を問わず「長子優先」とする報告書をまとめた人物だけに、今後の国民世論にも影響を与える可能性がある。
また、毎日新聞が6月20~21日に実施した全国世論調査で「養子の子孫が皇位継承権を持つこと」について尋ねたところ、反対が34%で賛成(23%)を上回った。ただ、最も多かったのは「わからない」の41%と、4割を超える有権者が判断できておらず、国民の理解が進んでいないことを浮き彫りにした。
同調査では「女性が天皇になることについてどう思うか」も尋ねたが、全体の40%が「女性天皇に賛成で、父方が天皇の血筋につながらない女系天皇にも賛成」と回答。「女性天皇は賛成だが、女系天皇には反対」(33%)も加えた「女性天皇賛成派」は73%にのぼった。
今回の改正案には、皇族数確保策として「女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する」という内容も盛り込まれている。同調査ではこの点をめぐっても「旧宮家出身の男系男子を養子縁組で皇族とする」案への賛成は全体の28%で反対(32%)を下回った一方、女性皇族の身分保持案は賛成が60%を占め、反対は12%にとどまった。
党首討論での高市答弁も波乱要因に
こうした調査結果から、今回の改正案の柱となる「養子の子への皇位継承」については多くの国民が懐疑的であることを示しており、「政府は成立後も、『国民から親しまれる皇室』を維持するために国民への説明に注力する必要がある」(自民党長老)ことは間違いない。
週明け以降、同改正案は参院特別委で審議されることになるが、15日には今国会2回目の党首討論が開催されることに加えて、14日には衆参両院で予算委の集中審議が実施される可能性がある。そのため、参院での改正案の採決は会期末前日の16日となる可能性が高い。
さらに、野党側は党首討論などでの高市首相の答弁次第で態度を硬化させる事態も想定される。国会会期の短期延長の可否も含めて「なお混乱要因は残っている」(自民党の国対担当者)のが実情だ。

