今回のパラグアイ上院議員の侮蔑は、人種差別というだけでも重大だった。
それに加え、フランス社会の中でも多文化共生における重要スポーツであるサッカー、その若きスター・シンボルであるエムバペ選手に向けられたため、「No!」の声がさらに大きく表明されることになったと言える。
今回はマクロン大統領への冷めた反応は少ない
そしてこれは余談ではあるが、39歳の時に史上最年少で大統領に就任したマクロン氏は、きってのサッカー好きとして知られている。サッカーとなるとことあるごとに顔を出し、「また出た」と失笑を買うこともある。
22年のカタールW杯では決勝を現地のドーハで観戦。アルゼンチンに敗れた試合終了直後にピッチに降り、落胆するエムバペ選手の横に身を屈めて慰めた姿が放送され「やりすぎだ」と批判を浴びたこともあった。
が、今回は人種差別という深刻な問題ゆえに、マクロン大統領の熱心な支援コメントにも冷めた反応は平素より少なく、平熱で受け止められているようである。
今後の試合の行方によっては、この場外戦に続報が加わるかもしれないが、自身も移民としてフランスで生活する筆者は、これ以上の応酬はなく事態が収束してほしい。
人種差別言動は向けられた本人だけではなく、その余波や因果で、多くの人がダメージを受ける。場所を問わず厳しくNoを突きつけるべき人類共通の問題であると、この機に世界各地で再確認されることを願う。
※実際の発音からは「ンバッペ」と表記するほうが近いが、日本で一般的な表記に合わせ「エムバペ」とした。

