「W125シルバーアロー」や「SLRマクラーレン722 GT」の爆音を響かせるエンジン始動デモは、エンスージアストにはたまらない。どうりでコモ湖周辺にドイツ車が多いわけだと、私も深く納得させられた。
昨年、これら2つのコンクールに多くの人々が押し寄せた結果、コモ湖畔は大渋滞に陥り、地域としての大問題となった。しかし今年、その混雑を緩和すべく、ヴィラ・デステとフォーリ・コンコルソの間を優雅なボートで送迎するという粋なサービスが行われていた。
2つのイベントが単に対立するのではなく、自動車文化を盛り上げるために共存しようと努力し始めた姿には、1人のクルマ好きとして拍手を送りたい。
コンクールの進行自体も、新旧の魅力が絶妙にブレンドされている。土曜日のホテル・ヴィラ・デステは、関係者や極少数のメディアのみの参加が認められた、極めてエクスクルーシブな雰囲気に満ちていた。
コモ湖の水面へと続く、ホテルの美しく手入れされた細長い庭園。そこにたたずむクルマたちを前に、コレクターやジャーナリストが挨拶や抱擁を交わす、まさにプライベートサロンのようであったのだ。
伝統のコッパ・ドーロは「300 SL ロードスター」に
この日、一般参加者の投票によって決定される伝統の「コッパ・ドーロ(Coppa d'Oro)」を獲得したのは、リアラックにスキー板とラゲッジをくくり付けた、1950年代の白いメルセデス・ベンツ「300 SL ロードスター」。この地のエレガンスと旅の精神を完璧に体現した、タイムレスな選択であると私は感じた。
一方で、日曜日にヴィラ・エルバ(Villa Erba)に舞台を移した一般公開イベントは、例年以上の恐ろしい人数が詰めかけ、会場にはすさまじい人並みができていた。
あまりの混雑に閉口する者がいたのも事実だが、老若男女が障壁なしで名車に近づき、そのディテールを食い入るように見つめる熱気は、自動車文化の健全な広がりを感じさせた。

