アップルは、iPhoneという世界最大級の生活インフラを持っている。AIを使いに行くのではなく、iPhoneを使っていたらAIが助けてくれる。この設計は、マジョリティ市場では極めて強い。
Siri AIが使えない地域がある
一方で、Siri AIの普及には制約もある。
アップルはSiri AIをまず英語でベータ提供し、その後、対応言語を広げるとしている。そのため、日本語環境で使えるようになるのは、アメリカでのベータが始まる26年12月以降、27年春頃に使えるようになることを期待して待つしかない。
また、中国では規制対応のためApple IntelligenceおよびSiri AIは提供されない。
さらに欧州連合(EU)では、デジタル市場法(DMA)への対応を理由に、iOS 27とiPadOS 27のリリース時点でSiri AIは提供されない。アップルによれば、EUではmacOS 27とvisionOS 27ではSiri AIを利用できるが、iPhone、iPad、Apple Watchでは当初利用できない。これは、iOS/iPadOSが、競争法上のゲートキーパーに認定されているからだ。
この問題は、単なる地域別機能差ではない。AIが自由に使えない世界が、すでに始まっているということだ。
例えばアメリカでは、フロンティアAIモデルへの政府関与が強まっている。26年6月、アメリカ政府はフロンティアAIモデルの安全保障上のリスクを評価する枠組みを示し、開発企業がリリース前に政府へモデルを提供し、信頼できるパートナーを選ぶ仕組みを設計するとした。
OpenAIはGPT-5.6の全面公開をアメリカ政府の要請で遅らせ、当初は審査済みの一部パートナーに限定して提供した。さらに大きな影響を受けたAnthropicについても、アメリカ商務省がFableやMythosといった先端モデルへのアクセスを一時制限し、この動きがAIモデルそのものやAPI経由のアクセスを輸出管理の対象とみなす前例になりうる。

