内閣府が公表している令和7年版の「高齢社会白書」に、運動テストのスコアと知覚能力テストのスコアが載っている。これも「リタイア・シフト」時代の到来を象徴するデータとして紹介したい。
スポーツ庁の調べによれば、新体力テスト(握力、上体起こし、長座体前屈、開眼片足立ち、10メートル障害物歩行、6分間歩行を行なう)の合計スコアについて過去と比較をしてみると、現在の高齢者は驚くほど「若返り」を果たしたというのだ。
2005年、70歳代前半男子のスコアが36.6点であったところ、2023年調査では40.0点をたたき出している。これは2005年当時の60歳代後半のスコア(40.6点)にほぼ匹敵する。
同様に、2005年に70歳代後半男性のスコアが33.2点だったところ、2023年調査では36.1点まで上昇している。これもまた2005年当時の70歳代前半のスコアにほぼ相当する。
つまり、「2005年と2023年を比べると、体力的には約5歳の若返りが生じている」ということだ。
60歳代後半男性のスコアはこの間1.3点しか上昇していないため、60歳代の健康についてはすでに安定的である(十分に健康である)。純粋に「70歳代の体力増進」が起きているということになる。
同様の現象は女性でも生じており、やはり「体力的に約5歳の若返り」が生じている。
私たちがなんとなく「今のお年寄りは元気だよね」と思っているイメージは、もはや60歳代に向けられているものではなく70歳代に向けられている視線ではないだろうか。
彼らが元気であることは間違いなく事実なのだ。
高齢になると知力は衰えるのか?
年を取ると私たちは「記憶力が落ちたわー」「すぐ計算したり判断したりができなくなった」とこぼすようになる。
赤瀬川原平氏はこれをウィットに富んだ表現で「老人力」の高まりと提唱したものだが、実際どのくらい知覚能力は衰えていくのだろうか。

