対向車線にハミ出て無理に追い越そうとした結果、前方の車が5台ほど詰まっており、元の車線に戻れないシーンがあった。正面から突っ込んできた車が避けてくれたので事故にはならなかったが、あの時は心臓が止まった。ちなみにドライバーは「おいおい今のは危ないだろ」「普通は配慮して間に入れてくれるもんだろーが」といった不満そうな表情を浮かべていた。
旧ソ連最貧国でのオモテナシ
旧ソ連構成国の中で、経済的に最も貧しいことで知られるタジキスタン。国際通貨基金(IMF)の最新のデータをまとめた『GLOBAL NOTE』によると、国民の豊かさや生活水準の目安となる「1人当たり名目GDP」は193カ国中、日本は38位(3万5973ドル)。タジキスタンは162位(1693ドル)。1人当たり名目GDPには約21倍の差が生じている。
私が訪れたのは同国第二の都市で、日本で例えるなら大阪や横浜のような“都会”のはずだったのだけど……視界に映るのは、険しい岩肌がむき出しになった山。舗装されておらず土煙が舞っている歩道。ちょっと寂しい感じの地方都市といった印象を受けた。
日帰り1人旅だったので、スマホのSIMカードは購入しなかった。実はSIMカードがなくてもGPSは生きている。グーグルマップで位置情報さえ確認できれば十分だと思ったのだ。両替したのは20ドルだけ(約3200円)。ここから両替手数料100円、国境と市内の往復移動費が約1800円、観光費500円、飲み物代150円(計3本分)が引かれ、残金650円。
小銭を握りしめて入店したのは、町一番と噂されるレストラン。店内は予想以上に高級感が漂っていた。私は机の上にお金を置いた状態で、「今650円しかない」「このお金で何が頼める?」と店員さんに質問した。どうやらスープかパンくらいしか選択肢がないそうだ。どのスープにしようか迷っていると、後ろの席にいた50代くらいの男性が「Where are you from?」と話しかけてきた。
私の壊滅的な英語力が正しければ、その男性は「せっかく日本から来たんだからスープ以外も頼んだ方がいい」「え、お金がない?」「いいよ。奢ってやるから好きなものを食え」「ここの店の肉料理は俺のオススメなんだ」「サラダも食うか?」「紅茶も飲みたかったら頼んでいいぞ」と言ってくれたのだと思う。結局、合計で1500~2000円くらいの料理を全額ご馳走していただいた。
