とにもかくにもお腹以外は平和な状態で、私は次の国を目指した。ここから“中央アジアの洗礼”が待っているとは知らずに……。
130キロで対向車線をマリオカート
1922年から1991年までの約70年間、ロシアを中心に15の共和国で構成された、ソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)。この時代に作られた「最上級ホテル」と「世界一美しい地下鉄」が現在進行形で、ウズベキスタンという国で稼働している。ソ連時代の遺産を全身で味わった私は、せっかくの機会なのでウズベキスタンの首都・タシケントからタクシーに乗り、隣国タジキスタンへも行ってみることにした。
移動は乗り合いタクシー。同じ方面に移動したい乗客が、5~7人乗りのタクシーに全員集まり次第出発する。待ち時間の読めない格安ローカル移動手段。これで国境まで約100キロ、1000円くらいで移動した後、徒歩で国境を越え、タジキスタン側で再び乗り合いタクシーを見つけて60キロほど移動する……という私の計画には“落とし穴”が仕掛けられていた。
日本の高速道路と異なり、ただ普通の一般道のような道を、ドライバーは130キロの爆速で進んでいく。前を走る遅い車(といっても、その車も100キロは余裕で出てると思うのだが……)を発見したら、ためらいなく追い越す。右に左に縫うように追い越す。
問題なのは前の車を追い越す際、対向車線に車体が完全にハミ出るシーンが多々あることだ。おそらく10〜20回以上はあったと思う。
対向車線、つまり正面から突っ込んでくる車も爆速で移動してくる。日本人の感覚からすると「そんなに無理に抜かなくていいよ」「もし追い抜くのが5秒遅かったら衝突しそう」「頼むからマリオカートではなく安全運転で走ってくれ」と叫びたくなったが、他の乗客は昼寝したりスマホゲームをしたり、何一つ問題視していない。
