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キャリア・教育

「修羅場がなくても、本気スイッチは入れられる」守屋淳×田久保善彦対談(後編)心が折れない「志」と「胆力」の磨き方

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守屋淳氏、田久保善彦氏
後編は乱世を生き抜くための「胆力」と「志」について語る(撮影:尾形文繁)
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守屋:産業再生機構などで活躍されてきた冨山和彦さんは、修羅場を経験すると胆力がつくとよくおっしゃっています。そういう経験はやはり必要なのでしょうか。

田久保:修羅場は本当に大切だと思います。しかし、そのような場の少ない幸せな会社では、胆力は鍛えられないのか。しんどい原体験がないから、志が生まれないのかというと、必ずしもそうは言えない気がします。強烈な経験よりもスピードは遅くなるかもしれませんが、工夫の余地はあるのではないかと。たとえば、ある卒業生は、誰かと話して学んだことをエクセルに記入し、そのうち自分の出来ていないことをトップ100のリストに入れて、出来るようになったら入れ替える、元のリストは優に1000を超えるという作業を20年間延々と続け、心を鍛えています。

それから、東日本大震災のときテレビ画面で被災状況を見ただけで、居ても立っても居られなくなって現地に移住し、いまだに頑張っている人もいます。その意味では、ニュースや1本の映画でも、何かのスイッチが入って、胆力を鍛える経験につながることがあると思います。

守屋:「スイッチが入る」という表現はすごくわかりやすいですね。大倉喜八郎も、金貸しをして地味に暮らせればいいくらいに思っていたときに、検校(けんぎょう)から説教されてスイッチが入って、その瞬間からのはっちゃけ方が異常なまでにすごかった。スイッチは自分で入れる場合もあれば、他人やメディアの情報など、人それぞれだと思います。

守屋淳。作家。1965年東京生まれ、早稲田大学第一文学部卒業。『論語』『孫子』『韓非子』『老子』『荘子』『貞観政要』などの中国古典の教えを現代にどう活かすか、また実際にそれらを活かして成果をあげた歴史上の人物を専門とする。2018年4~9月トロント大学倫理研究センター客員研究員。グロービス経営大学院アルムナイスクール特任教授。著訳書に、『現代語訳 論語と算盤』(70万部超)、『「論語」がかわれば日本がわかる』(以上、ちくま新書)、『詳解全訳 論語と算盤』『(訳・注解、筑摩書房)、『最高の戦略教科書 孫子』(20万部)、『勝負師の条件』(以上、日本経済新聞出版)、『組織と権力の教科書 韓非子』(日経ビジネス人文庫)などがある(撮影:尾形文繁)

我々は2周目の明治時代を生きている?

田久保:今の日本の働き方改革は、個人的にはやや行きすぎな気がします。定時に帰りたい人が帰れるのはよいことですが、伸び盛りで成長したい、今が踏ん張りどころだ!と思って頑張りたい人に「仕事をするな」「帰れ」というのは、違うのではないかと。明治は令和以上に大変な時代でしたが、当時のようにがむしゃらに戦いきる雰囲気を再興させないと、ひたすら弱っていきそうで心配です。

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