守屋:グロービスには仲間やネットワークをつくる仕組みがたくさんあって、見事にそれが機能していますよね。卒業した後も、みなさん連絡を取り合って、いろいろなコミュニティができています。
田久保:それこそ、山のようにお金を持っていても、志を燃やし続けている世界ナンバーワンは、イーロン・マスクさんだと思います。個人的な仮説ですが、素直な心を持ち続けられる最大の理由は、他人に対してではなく、自分の志に対して謙虚なのではないかと。マスクさんは他人と罵り合ったり、いろいろ問題もありますが、自分の志には真っ直ぐです。人間を大量に火星に送るためには今の技術では無理だとわかっている。だから、あらゆることを知りたいと貪欲になるのではないかと。
その意味では、タイプは違うけれど、渋沢栄一と似ていますよね。この国を良くしたり、自分のコンセプトの経営を広げていくために役に立つならば、若かろうかどうかは関係なく、誰にでも耳を傾けて、延々と志を追い続けていたのかなと思います。
守屋:その通りだと思います。毎朝、渋沢栄一に会いたいと思う人が、彼の家の門の前に並ぶのですが、彼は晩年に至るまで、基本的に全員、1人1人に会っていました。日本を強く繁栄させるために、あらん限りのことをしなくてはいけないと思っていたのでしょう。それは志なしには続けられません。
胆力は生まれつきか、鍛えられるのか?
守屋:大きい志を立てて起業すると、逆境が付きもので、それを乗り越えるには、いわゆる胆力が必要になります。これは私も結論が出せてないのですが、胆力は生まれつきが大きいのでしょうか、鍛えられる部分が大きいのでしょうか。
田久保:私個人としては、すべての能力はトレーニング可能だと信じたいですね。胆力を心技体に読み替えると、体力は筋トレをやれば伸びます。技や技能もそうです。毎日ゴルフの練習をすれば、うまくなります。ただ、普通の人はそのときにプロゴルファーの松山英樹さんを見て、上手いとか下手とか言い始める。そうではなく、見るべきは昨日の自分です。練習すれば、昨日の自分よりも少しは上手くなるはずです。
心についても、トレーニング可能です。たとえば、スタートアップでは好業績の若手がいきなり高いポジションに抜擢されたら、心が折れてしまうパターンが起こりがちです。その点で、ある意味で日本の大企業はよく出来ていて、ほとんどのケースでどれほど頑張っても2年目の社員を課長にしません。少しずつ仕事のハードルを上げて、チームを持たせて揉まれた後で、ようやく課長にする。その過程で心も強くなっていくのではないでしょうか。



※ログイン後、コメント入力が可能です。