一定の決まりに基づいて選ばれた標本が整然と並ぶ正統派の博物館もいいですが、何やらよくわからないものが雑然と置かれた博物館も、味があって私は大好きです。期待を膨らませた私たちは「メキシコ館」の駐車場に降り立ちましたが、何やら不穏な気配……人がいる感じが一切しないのです。
「あれ? これはもしかして……」
入り口に近づくと、「本日臨時休館」の文字が。
「あーあ、残念」
「天気のせいかなあ。大雨予報、出てるから」
「予報は出てるけど、今はほとんど降ってないのにね……」と私たちは顔を見合わせ、嘆息しました。ガラス越しに見える内部には、小泉元総理、イチロー、ブルース・リー、アーノルド・シュワルツネッガーらしき蝋人形が血の気のない顔で佇んでいます。その統一感のなさが逆にある種の迫力になっていて、夜に1人で見たくはない光景です。
どこがメキシコなんだろう…
「どこがメキシコなんだろう……」
Yちゃんのつぶやきに、私もうなづきました。入館しないとわからないところに、メキシコ風味があるのでしょうか。謎は深まるばかりで、悔しい思いを募らせました。
「この辺り、ほかにも博物館あるみたいですよ。近いみたいだし、これ行ってみませんか」
Hちゃんがスマホで調べてくれたのは、「怪しい少年少女博物館」という名前からして怪しい博物館です。
「行こう行こう!」
私たちは再び車に乗り込み、「怪しい少年少女博物館」を目指しました。
「また臨時休館だったら嫌だね」
私が不安を口にすると、「その可能性ありますよね……」とYちゃんも眉をひそめました。そして残念ながら、その悪い予感は当たってしまいました。

