中東情勢が、航空会社の経営を揺るがしている。2月末のアメリカとイスラエルによるイランへの攻撃以降、原油の供給不安から欧州などでジェット燃料が足りなくなるという懸念も増した。足元ではそういった喫緊の危機は遠のいているが、ジェット燃料の高騰は経営を直撃した。
2026年3月期はANAホールディングスの燃油費が4723億円、JALが3954億円。この間、ジェット燃料価格の指標となるシンガポール・ケロシンの平均価格は1バレル85.4ドルだった。だが、3月以降この価格は高騰。4、5月平均価格は1バレル178.2ドルと2倍以上に上昇した。各社は急な価格高騰に備えヘッジをかけているが、それにも限界がある。
ANAとJALがそれぞれ想定する影響を見てみよう。
ANAは中東情勢が6月末までに収束し、7月以降に段階的に影響が解消する前提で業績予想を出した。国際線のサーチャージ上昇やコスト削減に加え、政府の激変緩和措置による補助金があっても1年で600億円の営業利益押し下げ影響があるとした。
一方のJAL。3月段階で発表していた原油高騰を織り込まない業績予想を現在も変えていないものの、サーチャージの本格的な上昇が始まる6月まで、毎月110億円の利益押し下げ影響が出るとした。通期では挽回するとしているが、相応の影響が出ることは避けられない。
赤字には至らないまでも燃油費高騰で相応の影響
顧客にとって最も影響が大きいサーチャージも、大きく上がった。5月以降の購入分は以前と比べて2倍近くのサーチャージを払わなければならない。ANAとJALは今年度から、基準となる市況価格の反映時期を「適用3、4カ月前の平均値」から「2、3カ月前」と1カ月早めた。これにより急激な燃油価格変動に対応できるようになった。

燃油高騰を受けて両社とも今期は減益を見込むが、それでも一定程度の利益は確保できる見込みだ。ましてやコロナ期のように赤字に落ち込むほどにはならなさそうだ。
むしろ関心は今後の成長戦略をどう描くかに移ってきている。

