単なる飲み物ではなく、体験として楽しまれているところも日本特有だ。
行定氏には、4年前の入社直後に見た印象深い光景があるという。夏のある日、店舗を通りかかると、浴衣姿の女性2人が期間限定のフラペチーノを手にしていた。金魚の置物や、浴衣姿が映り込むようにしたりして、楽しそうに写真撮影をしていたのだ。まさに、体験共有という価値をフラペチーノが提供していたことになる。
開発の流れ THE 苺 フラペチーノの場合
こうした日本のファンの期待に応えるため、フラペチーノの開発では、単なるドリンクではなく「体験」として商品設計やストーリー設定することを心がけているという。
例えば25年4月に発売した「THE 苺 フラペチーノ」は、忙しい日々や暑い夏に避暑地のホテルのような非日常空間を届けられる、というイメージを設定。フローズンでさっぱりしており、ホテルのウェルカムドリンクのような、リフレッシュできる一杯として開発した。歴代の商品の中でも注目度が高く、ポップアップイベントでは行列ができるほどだった。
しかし、いつも成功するわけではない。
フラペチーノの新作は1年前から開発がスタートするため、トレンドや客の好みの変化を見極めるのはかなり難しい。また客の期待に応えながらも、想定を超えた驚きも提供する必要がある。例えば毎年発売される定番の季節商品では、客に愛されているコアな要素を残しつつも、新しさも加えていかなければならない。このバランスが難しく、期待を上回れずに苦戦するケースもある。
「以前、辛いフラペチーノを出したときには微妙な反応だった。ただし失敗ではなく、学びとして受け取っている。商品にはちょっとした驚き、サプライズが大切で、期待の少し先を行く必要があるためだ。すべての商品を受け入れていただくことは難しく、8割の成功率を目指している」

