この点について聞くと、下今市―会津田島間はディーゼル機関車のDE10形がSLの前補機となり、SLはその力に頼ることによって給水は避けられるとのことだった。給水地点は会津田島と芦ノ牧温泉だ。筆者はSL運転に合わせ会津田島駅で写真展を開催するため、会津鉄道に何度も通ったが、6月上旬の試運転でその様子を見た。
会津若松行きの試運転列車が「赤べこ」のヘッドマークを付けたDE10形を先頭に会津田島に到着すると、ここでの停車時間中にDE10形は列車の後ろに回り後部補機となる。この赤いヘッドマークは試運転の際のみだという。
かつて、会津田島の駅構内には機関区の支所があり石炭庫と給水塔があったが、今やSL時代の痕跡は、最後まで走り続けたC11形254号機が会津田島駅前に保存してあるだけだ。まさかSL廃止時には半世紀後、再びC11形が走るとは誰も予想していなかっただろう。では給水はどうするのかというと、ホームに設置した容量5トンの水タンク2基からホースとポンプで行う。
会津田島の次の給水地は芦ノ牧温泉駅だ。この駅のホームは相対式なので、各ホームに2基の給水タンクが必要になる。ホームの先端の空き地に設置した水タンクから、駅での停車中に給水を済ませるのだ。
「汽車の匂い」再び
会津田島駅に向かうSL大樹「土津」は、この先に勾配のある長大トンネルを通過することになり、給水を受けたC11形も補機のDE10形も全力状態で走ることになるはずだ。煙突から吐き出される煙は容赦なく客車の隙間から、懐かしい石炭の匂いを運んでくれることであろう。
トンネル内で車内に煙が入り込んでくるこんな場面は、かつての昭和の蒸気機関車現役時代には鉄道の旅の苦痛でもあった。しかし、筆者には懐かしい子どもの頃の汽車の匂いだった。

