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観光客が消えた鎌倉で…1日1000個売れる開運土産"大仏さま焼き"「ひょうたんからコマ」な誕生の舞台裏

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ともや 大仏さま焼き
鎌倉にある和菓子屋の「ともや」。二代目夫婦が考案したほほ笑む「大仏さま焼き」が大人気に(写真:筆者撮影)
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実際、冒頭の女性客のように開運で選ぶ客も多く、「カスタードを1個」の代わりに「人気運を1個」といった具合に注文してくる人もいるほどだ。

ほっこりする見た目だけでなく、「どれを選ぼう」という会話が生まれる仕掛けが、商品の魅力をさらに広げているのだろう。

持ち帰り用の紙袋にも、運勢とフレーバーの組み合わせが記されている。6個買うと箱詰めも可能(写真:筆者撮影)

しかも、この運勢はひとつずつ辻堂の占い師さんに鑑定してもらったもの。

以前より、亜実さんが人生の節目などで占いを診てもらい、信頼していた人に、大仏さま焼きの構想を話したところ、「開運をテーマにしてみては」と助言をもらい、それぞれのメニューに合わせて「〇〇運」を鑑定してくれたのだという。

店舗のある小町通りは鶴岡八幡宮への参拝客も多いので、街を歩くモチベーションとしても開運フレーバーと親和性が高い。おみくじを楽しむような感覚で、何度でも選ぶ楽しさを与えてくれるのだ。

発売直後、コロナ禍で人が消えた

亜実さんが描いた大仏さまのイラストと、立体モデルの写真をもとに、世界にひとつだけの焼き型が完成。6つの開運フレーバーも決まり、店の命運をかけた新商品「幸せをよぶ大仏さま焼き」は、大きな期待を込めて、2020年3月に発売された。

ショーケースにずらりと並ぶ大仏さま。開店の2、3時間前から焼き始める(写真:筆者撮影)

そして、瞬く間に口コミが広がり、大ヒット……とはいかなかった。

発売を目前にコロナ禍となり、4月初旬には緊急事態宣言が発令。

「桜の季節なのに、あんなに人の通らない小町通りは初めてでした」

観光客のいない閑散とした鎌倉の風景は、まるで知らない場所のように思えた。

先行きのわからない、不安な日々。

「今できることを」と、知恵をふり絞って行ったのが、インスタグラムを開設して商品を紹介し、オンライン受注で全国配送を行うこと。そして、もうひとつは、ママ友へのデリバリーだ。

ステイホーム期間、人と外で会ったり、集うことはできなくても、お菓子は日々のささやかな楽しみになる。南さんにとっても、届けた先の友人たちが喜んでくれることが、先の見えない日々のなかで、大きな励みになったという。

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