「せっかくなら、オリジナルの型を作ろうよ。新商品を作ろう!」
亜実さんの中で、スイッチが入った瞬間だった。
食べ歩きの需要がある立地を生かして、観光客が思わず手に取りたくなる商品を作りたい。
“鎌倉っぽいもの”として真っ先に思い浮かべたのが、大仏さまだった。
さまざまな大仏さまのモチーフを探してみたが、しっくりくるものが見つからず、「ないなら、自分で描いてみよう」と、亜実さん自身が大仏さまの顔を描くことに。
真剣な表情だと、少し怖くなってしまい、かわいく描きすぎると、ちょっと違う。
何枚も描き直して、ようやく家族から「いいね」をもらえたものが、まさに今店頭で並んでいる大仏さま焼きの表情だ。
さらに、亜実さんは立体モデルまで制作。子どもの粘土を借りて、手のひらサイズの大仏さまを手作り。大仏さまらしさを際立たせる螺髪(らほつ)の部分も、一つひとつ小さな丸でくっつけて、自ら思い描いた大仏さま焼きを形にした。
そして、オリジナルの形で鋳物の焼き型を作れる会社を見つけ出し、完成した模型をもとに焼き型を発注したのだ。
じつは、このとき、大仏さまのほかに、祐介さんの案で鶴岡八幡宮にちなんだ「つる」や「江ノ電」も候補に入っていたという。でも、首の長いつるはお菓子の焼き型にしにくいと却下。江ノ電も検討したが、大仏さまのかわいさには及ばず、選ばれなかったとか。
先代から引き継いだ店が変化を必要としていたとき、予期せぬトラブルから生まれたのが「大仏さま焼き」だったのだ。
ヒットのカギは“開運フレーバー”
ともやの大仏さま焼きが話題を呼び続けているのは、単に、かわいらしい大仏型のお菓子だから、だけではない。6種類のフレーバーには、それぞれ異なる開運の願いが込められている。
フレーバーと運勢の組み合わせは、こんな感じだ。

