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政治・経済・投資 #BTSに続け!エンタメ帝国「HYBE」の野望

〈楠木建氏が分析〉BTSを生んだHYBEの競争戦略に見る「トヨタ生産方式」との意外な共通点とグローバル展開に潜むワナ

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南米でもBTS人気は高い。5月、メキシコ大統領との会見後に国立宮殿のバルコニーに登場(写真:Getty Images)
  • 楠木 建 一橋ビジネススクール特任教授

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BTSの世界的成功の背景として語られるのが、韓国の大手エンターテインメント企業であるHYBEの存在だ。独自のファンダムプラットフォーム「Weverse(ウィバース)」の仕組みや、IP(知的財産)の多角化、MD(グッズの企画・製作・販売)の展開を見て、多くの知識人や投資家が「これまでにない新しいビジネスモデル」と称賛している。

しかし、競争戦略の視点から冷静にその「見取り図」を眺めると、決して特殊なものではない。「これからはコンテンツだ、ファンダムだ、IPだ、MDだ」などということは、業界に関わる人間であれば誰もが思いつく、いわば共通認識だ。日本のAKB48グループや、かつてのジャニーズ事務所がやってきたことと大きな違いはない。

競争戦略における真の問いは、ビジネスモデルのきれいさにあるのではなく、競合他社が簡単にまねできない持続的な違いをつくれるか、だ。HYBEの本当の強みを理解するためには、見取り図の先にある、能力と仕組みに目を向ける必要がある。

ソニーミュージック元社長・丸山茂雄氏の「予言」

HYBEの戦略を解き明かす前に、私がかつて仕事を手伝わせていただいた、ソニー・ミュージックエンタテインメントの元社長・丸山茂雄さんの言葉を紹介したい。丸山さんは、日本の音楽業界におけるまさに「ドン」であり、圧倒的な才覚と人間的魅力を備えた人物である。

今から20年以上も前、インターネットが普及し、音楽のデジタル配信が産声を上げたばかりの黎明期に、丸山さんは私にこう語っていた。

「パッケージソフト(CDやレコード)をプラスチックの円盤に詰めて売ることで大儲けする時代は、音楽の長い歴史の中では極めて例外的な、たった数十年の現象にすぎない。インターネットの時代になれば、音楽ビジネスは必ず本来の原点に戻る。それはライブと、それに付随する消費だ」

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