「お母さん、最近忙しそうで寂しいから、ちょっと抱きしめてくれない?」などと冷静に言える小学生は、まずいません(ごくまれにいますが……)。
その結果、彼らが取る手段が「親の感情を揺さぶること」なのです。
褒められることで注目を浴びるのが難しいと感じたとき、彼らは「怒られること」で注目を浴びようとします。無視されるよりは、怒られてでも自分に意識を向けてほしい。これが、子どもなりの「不器用すぎる愛情確認」なのです。
例えば、このようなことはないでしょうか。親子で外出していたとき、たまたま友人と会い、そのママ友と話し始めた途端、それまで何も話しかけてこなかった子が、いきなり親に話しかけてくる。そのとき親は「今、お話ししているから静かにしてね」と言います。それでも子どもはしつこく会話を“邪魔”してきます。しかし、ママ友との会話が終わった途端、子どもは何も言わなくなる。
これは、小学校低学年くらいまでによく見られる本能的な現象です。その背景には、「自分を向いてもらいたい」という強い感情があります。
こうした背景に「愛情表現が不器用なだけ」という視点を持てば、それまで「イライラの種」だった子どもの行動が、「愛されたいという切実なサイン」に見えてきます。
夫婦間で起こる「不器用さ」の正体
この「不器用な愛情表現」という現象は、実は大人の世界、特に夫婦間でも頻繁に起こっています。例えば、こんな光景に心当たりはありませんか。
仕事から疲れて帰ってきた夫が、開口一番「家の中が散らかっているな」と小言を言う。
育児で疲れ切っている妻が、「あなたはいいわよね、外で自由にできて」と嫌味を言う。
記念日を忘れていた相手や、ささいな気遣いができないことに対して、怒りを通り越して何日も無視を続ける。
これらを表面だけで捉えれば、単なる「攻撃」や「不機嫌」です。言われた側は当然カチンときますし、「せっかく頑張っているのに」と反論したくなるでしょう。そこから不毛な冷戦状態が始まります。
