「もし失敗したら、自分の評価が下がるのでは」と不安に思う人も少なくありません。しかし、現代の組織においては、挑戦した結果としての「失敗経験」そのものが、貴重な資産として見なされるようになります。重要なのは、失敗したことではなく、そこで何を学び、次にどう活かそうとしているかを語れることです。
例えばある企業では、新規事業で結果を出せなかった担当者が、次の異動先で「不確実な中でも意思決定をする」経験を活かし、リーダーとして活躍しています。また別の例では、社内ベンチャー制度で事業化に至らなかったメンバーが、他部署での企画職に抜擢されるなど、「再挑戦」の場を得ているケースも多数あります。
評価制度上、昇進や評価に悪影響はない
Q.新規事業に挑戦すると昇給や昇格に不利になることはありますか?
実際のところ、新規事業に挑戦した結果として、昇進や昇給に不利になることはあるのでしょうか? 筆者が調査・ヒアリングを行った範囲では、「不利になった」という事例はほとんど確認されませんでした。むしろ、次のように評価される傾向が見られました。
・多様な関係者との合意形成や巻き込み力は、リーダーとしての資質として注目される。
・新規事業に取り組む中で明確になった「何をしたいのかという意思」が、次のキャリア選択を後押しする。
つまり、従来のKPIや短期成果だけでなく、「行動のプロセス」や「思考の質」といった部分が評価軸に加わっているのです。企業によっては、「挑戦すること」自体を評価指標として明文化しているケースもあり、新規事業の経験がキャリアに与えるポジティブな影響は確実に広がっていると捉えることもできます。
それでもなお、「窓際に追いやられるのでは」「元の部署に戻れなくなるのでは」といった懸念がゼロになることはありません。しかし、多くの場合、それは過去の時代に作られた「イメージ」にすぎません。

