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3度沈んだ「廃墟百貨店」を蘇らせたのは「電気屋」だった…広島・福山そごう跡地、30年目の逆転劇

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「iti SETOUCHI」の週末のイベント風景(写真:iti SETOUCHI)
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「iti(イチ)」には3つの意味がこめられている。この建物のある「西町1丁目1−1 1階」と、始まりを示す「1」。人と人が出会って新しい「+」が生まれる「i + i = iti」。そして、多くの人が集まる場所である「市」。その翻訳者となった谷口さんは、ここから福山市との終わりの見えない調整を始める。「屋根のある公園のような元百貨店」という前例のない施設の使い勝手を高める落としどころを、ひとつずつ見つけていった。

たとえば、建物の外にキッチンカーを置き、中に食事用のテーブルを置く場合は、非常時に緊急車両が通れる動線を確保すればよい。冬の寒さをしのぐために、1カ所だけシャッターを閉めてもよい。火が出るストーブは使えないが、電気ファンヒーターなら使用を認める――。こうした一つひとつの線引きを、現場で積み上げていった。

「それでもやはり想定よりも暑さ寒さが厳しかったので、エアコンを8台追加することにしました。おかげで5000万円近く、予算オーバーです」(島田さん)

中央の吹き抜け部分に置かれたエアコン(写真:筆者撮影)

しかし、“未完成“の施設には、予想を超える速さで人が集まり始めた。

オフィスは満室で空き待ちの状態に

現在、iti SETOUCHIのコワーキングスペースは毎年前年比1.5倍ほどの勢いで利用者が増え、オフィスは満室で空き待ちの状態だ。マルシェや講演会、現代アート事業などの場として、福山市民の間ではすっかり定着している。2025年度の実績では、イベント開催が年間385回、来館者数は7万4000人を超える。なおこれはイベント集客やスペース利用者のみの数で、店舗への客数はカウントしていない。

開業の翌年、iti SETOUCHIは、公益財団法人日本デザイン振興会の2023グッドデザイン・ベスト100に選出された。とくに高く評価されたのは、「つながりを生み出すコミュニティデザインと仕掛け」そして「商業に頼らないプログラム」だった。利用者である市民と一緒に作り上げていくところが「新しい価値を生み出す」として評価されたのだ。これらの社会的な評価も、運営面での追い風となっている。

福山電業が初期投資に費やした費用は、およそ5億円。

では、この事業の採算はどう成り立っているのだろうか。後編では、iti SETOUCHIの意外なビジネスモデルを解き明かす。

《続きを読む》→→後編:「駐車場で月800万」「オフィスは満室」電気屋が"3度沈んだ廃墟百貨店"を蘇らせた、ビジネスモデルの全貌

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