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発火事故と航空規制で揺れるモバイルバッテリー市場──首位アンカーが選んだ次の一手

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アンカー代表取締役CEOの猿渡歩氏
日本での累計出荷台数1億台に合わせるように、Anker Power Conference 2026でブランド再編と新しいロゴマークを発表したアンカー・ジャパン代表取締役CEOの猿渡歩氏(写真:筆者撮影)
  • 林 信行 フリージャーナリスト、コンサルタント
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とはいえ、発火事故のニュースなどは、原因を「リチウムイオン電池」と一括りにするものも多く、すっかりリチウムイオンという素材だけが悪者にされてしまった感がある。このため業界では半固体電池やナトリウムイオン電池といった別の素材を採用し、安全性をアピールする会社が増えてきている。

しかし、「セルがよければ安全、私たちはそう考えていません」と猿渡氏は言い切る。

安全性とは、セルの素材だけでなく、セルそのものの品質、筐体の耐久性、ソフトウェアによる制御、そのすべてを兼ね備えた製品全体で実現するものだというのがアンカーの考え方だ。

「半固体のバッテリーセルを作るのは難しくはないんです。ただ、業界としても半固体と謳うための規制はなく、世の中に出回っているものには、3〜4パーセントだけ固体にして『半固体』と言っているだけのものもある。実質、そんなに安全性が高まっているかというと、そうではないものも中にはある」

メーカーが宣伝することで別の素材が安全なように思われてしまいがちだが、「代替素材には、現時点でまだ大きな課題が残されている」というのがAnker Japanの見立てだ。

第一に、実証実験の蓄積。リチウムイオン電池が世界中で積み上げてきた検証データに比べ、代替素材はまだ実証が十分でない領域がある。

第二に、使用環境と廃棄ルール。代替素材のバッテリーは、リチウムイオンのようには取り扱いや処分のルールが整備されておらず、航空機への持ち込みが制限されるものもある。

そしてもう1つ、これは安全面の話ではないが、代替素材は同じ容量でもサイズが大きく重くなりがちで、毎日持ち運ぶモバイルバッテリーには向かないという根本的な問題がある。

「リチウムイオン」を採用、かつ新しいバッテリー技術

こうしたことを考えて、アンカーが発表したのが新しいバッテリー技術「ネオリチウムイオンバッテリー」だ。名前の通り、「リチウムイオン」技術を採用したバッテリー技術になる。

「いろんなものが追いついていない中で代替素材に飛びつくよりは、既存の素材で一番安全性の高いものを作れれば、数としても世の中に出せる」。問題が起きたからといって看板だけ付け替えて商売を続けるのではなく、問題の本質に向き合い、それを解決して前に進もうというリーディングカンパニーならではの態度といえよう。

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