ドコモ側の事情は「守り」に近い。25年度決算でドコモは顧客基盤の維持を重点方針に掲げ、前田義晃社長は「短期解約を前提とした流入を抑止し、獲得効率化との両立を図る」と述べた。JALとの提携はこの方針に合う。回線契約はドコモのまま維持され、マイル特典が解約の抑止力になる。囲み取材でNTTドコモの横山豪経営企画部担当部長は「JALがMVNOになるわけではない。顧客流出にはならない」と説明した。ドコモの坪谷寿一常務執行役員はこの形を「通信をas a Serviceとして提供する」と表現し、パートナー企業にahamoを提供する初の試みだと語った。
dポイント経済圏のドコモとマイルを軸にしたJAL。異なる経済圏が手を組んだ理由を、西田氏は次のように語った。「経済圏がきれいに分かれている方が見ている分には美しいと思う。でも実際、私はマイラーだが生活の中でdポイントを貯めるシーンもある」。重なる部分で互いを強化する発想だ。
提携の先に何があるか
懸念がないわけではない。囲み取材で横山氏は「物価や半導体の値上がりといった事業環境がある」と述べた。ahamoの料金改定は一義的にはドコモが判断するが、JALモバイル版への反映については「JALとも話した上で決める」とした。ahamoが値上げすれば、JALモバイル版も連動する可能性が高い。
一方、提携の広がりを期待させる場面もあった。発表会でJALカードとdカードを組み合わせた提携クレジットカードの可能性を問われた西田氏は「ワクワクしてしまう」と笑い、坪谷氏は「ドキドキしながら持ち帰る」と応じた。両社はdポイントとJALマイルの相互交換やJAL NEOBANKなどすでに複数の接点を持つ。坪谷氏はドコモが26年夏に正式提供を予定するパーソナルAIエージェント「SyncMe」にも触れ、「AI分析の基盤としてデータが何よりも重要だ」と語った。JMB会員とdアカウントのデータ連携が実現すれば、両社の顧客理解は一段深まる。
