現地生産へと中国メーカーの背中を押しているのが24年10月にEUが正式導入した反補助金関税だ。23年12月にはEV最大手の比亜迪(BYD)がハンガリーで工場の建設を発表。24年4月には、国有系の奇瑞汽車がスペイン企業と合弁事業を設立し、既存工場を活用した生産に乗り出すと発表した。
EU内には中国勢に対抗するため域内のEV、電池産業を早期に育成しようという機運が高まっている。26年3月には、中国のEV・電池メーカーに対し、合弁事業の義務化や技術移転などの要件を課す「産業加速法」の草案を公表した。
これが施行されるとこれまでのような中国資本単独による工場進出が困難になる。このため、中国メーカーの間では今のうちに前倒しで独資進出しておこうという動きが強まるとの観測もある。
ステランティスも零跑汽車のEVをスペインで生産
こうした中で、スペインは中国系メーカーの集積地になろうとしている。オランダに本社を置く多国籍自動車大手のステランティス・グループは5月9日、中国の提携先である新興EVメーカー、零跑汽車(リープモーター)のモデルをスペイン国内の2工場で生産すると発表した。
またスペインの業界メディアは最近、中国の民営大手である吉利汽車が米国フォードのスペイン工場の生産ライン買収で合意したと報じた。米ブルームバーグによると、中国国有系大手の長安汽車もスペインでの工場建設を計画しているという。
スペインには、ステランティス以外にもドイツのフォルクスワーゲン(VW)グループなどのEU企業も工場を設け、ドイツに次ぐヨーロッパ第2位の自動車生産台数を誇るが、今後は中国ブランドのEV生産基地としての側面が強まりそうだ。
(財新記者:安麗敏)
※中国語原文の配信は6月2日
