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是枝監督に『箱の中の羊』を撮らせたもの―AIで「死者」までもを操作する"都合の良さ"に監督が抱いた違和感

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是枝裕和監督(撮影:尾形文繁)

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家族や親子のありかたに独特のまなざしを向けてきた是枝裕和監督(64)。2018年の『万引き家族』以来、8年ぶりとなる国内オリジナル脚本の映画『箱の中の羊』が公開されている。
息子を失った夫婦が、息子そっくりのヒューマノイド(ヒト型ロボット)を家族に迎え入れることで、失われた時間を紡ぎ直そうとするストーリーだ。
「箱の中の羊」は、サン=テグジュペリの小説『星の王子さま』からきている。王子さまに羊の絵を描いてと頼まれた「僕」は羊の絵を描くが、王子さまは「このヒツジったら、病気で、いまにも死にそうじゃないか」「これ、ヨボヨボじゃないか、ぼく、長生きするヒツジがほしいんだよ」と、どれも気に入らない。しびれをきらした「僕」が、ただの四角い箱を描き「こいつは箱だよ。あんたのほしいヒツジ、その中にいるよ」と言うと、王子さまの表情が明るくなった――。大切なものは目に見えない、心で探すしかないというメッセージが、この寓話には込められている。
世界中でAIやヒューマノイドの開発が進めらる中、『箱の中の羊』を撮った意図は何か。是枝監督に聞いた。(取材協力:TOKYO FM)

――7歳の息子を失い時が止まっていた夫婦が、息子そっくりのヒューマノイド(ヒト型ロボット)を迎え入れるストーリーです。どういう着想から動き出したのですか。

2年ほど前、生成AIを使って死者を蘇らせるビジネスに取り組んでいる中国の起業家の話をネット記事で読んだのです。そのとき脳裏に浮かんだのは、AIで歌手の美空ひばりさんの歌声を蘇らせた取り組みでした。

美空ひばりさんの画像データや生前に遺した音声データをAIに学習させて、節回(ふしまわ)し、かすれ声、語り(セリフ)の癖までが再現された。過去の名曲を歌わせるだけでなく「新曲」まで制作され、歌われた。新曲を歌っている「AI美空ひばり」を目にしたとき、モヤモヤっとしたんです……しませんでした?

――気持ちが悪かったです。

その気持ち悪さは、どこからきているのでしょう。

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