ここでヌヴォラーリのデザインを見てみよう。
昨年9月、アウディはイタリア・ミラノで新しいコンセプトカー「コンセプトC」を発表した。24年にチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任したマッシモ・フラチェッラの作品であるコンセプトCは、シンプルな面作りのなかに力強さを表現した造形に最大の特長がある。
また、このコンセプトCは36〜37年にヨーロッパのグランプリレースを戦ったレーシングカー「アウトウニオン・タイプC」をオマージュしたという点も注目すべきだ。事実、コンセプトCと往年のタイプCはよく似ており、これがヌヴォラーリのデザインにも見逃せない影響を与えていることがよくわかる。
ちなみにアウトウニオンはアウディの源流となった自動車メーカーで、アウディが用いるトレードマークのフォーリングスはアウトウニオンから受け継いだもの。さらに言えば、30年代にタイプCを操ったドライバーのひとりがタツィオ・ヌヴォラーリ、すなわち、ヌヴォラーリのモデル名の由来ともなった人物なのである。
今回発表されたヌヴォラーリのデザインにも、自分たちの伝統を踏まえつつ、それを未来に結びつけようとする意思が明確に表れているように思う。
1000PSを超えるパワーユニット
伝統を未来に結びつけるアウディの姿勢は、そのパワートレインにも表れている。
冒頭で申し上げたとおり、ヌヴォラーリに搭載されたパワートレインは、伝統的と言って差し支えのない内燃機関のV8ツインターボ・エンジンに、電動化の象徴であるプラグインハイブリッド・システムを組み合わせたもの。そうすることで、純粋な内燃機関では実現できなかった高性能と低環境負荷を実現する一方、内燃機関の伝統的な味わいを好むスポーツカーファンの嗜好にも応えようとしたのだ。
