だからこそ私は、「基本的に株を売らない」という、単純なルールを決めました。苦手なトレードの部分をそぎ落とし、スクリーニングを通じて見つけた有望銘柄を淡々と買い続ける、という自分の得意なことだけに集中することにしたのです。
今となっては、初期に短期トレードで一発当てなくてよかったとすら思っています。もし偶然にも「10倍株」などを見つけてしまっていたら、自分の才能を過信し、どこかで大きな失敗をしていたかもしれません。
「高配当株」と「増配株」は違う
誤解されやすい部分かもしれませんが、私が重視しているのは「高配当株」ではありません。投資する時点で飛び抜けて配当利回りが高くなくても、毎年配当が増えることで「実質的な配当利回り(取得価格に対する利回り)」が今後高くなるであろう株を、集めているのです。
見るべき指標は「増配率」。もし配当が年12%ずつ増える銘柄を保有し続ければ、わずか6年で受け取る配当金は2倍になります。いわゆる「72の法則」(複利運用で資産が倍になるまでかかる年数を算出する計算式)です。
私が実際に保有している銘柄を一部紹介すると、三菱商事は現在の株価を基準にすると配当利回りが2%台ですが、私の平均取得単価でみた実質的な配当利回りは12%を超えています。ほかにもオリックスやリケンNPRも10%を超える実質利回りです。
こうした「増配株」を買い続けて配当金はすべて再投資に回し、給料の範囲内で生活することで、後半急激に資産が伸びていきました。
徹底した定量分析でスクリーニング
では、具体的な銘柄探しの方法について、お話ししていきます。
私の場合、最初に徹底した定量分析を行えるよう、2段階のスクリーニング法を用意しています。企業のサービスを好きになるなどで自分の感覚が最初に入ってくると、客観的な定量分析を軽視してしまう可能性があるからです。
第1段階では、PBR(株価純資産倍率)1.3倍以下、ROE(自己資本利益率) 7%以上などの7項目で絞り込みます。『年収300万円から年配当804万円をもらう「激・増配株」投資入門』で詳述していますが、出版当時は76銘柄が選出されました。基準を厳しくしすぎると、本当は候補になりえた有望銘柄を排除してしまう可能性があるため、やや緩めの基準から始めます。
次に、IRBANKなどのサイトを使い、過去10年以上の実績を自分の目で確認します。成長継続性を担保するために、EPS(1株当たり利益)とBPS(1株当たり純資産)や、過去10期の配当実績も確認します。ここでも、過去に1回程度の減配であれば、許容します。「連続増配」という言葉にこだわりすぎると、せっかくの優良株をはじいてしまうからです。

