河合:福岡県の筑豊地区は市部よりも町村部の方が人口の減少が激しいですが、地域の全体像を俯瞰的に見えていない方が多いので、その上で、どのように鉄道やバスなどの交通を維持していくのかを考える必要があると感じています。昨今のドライバー不足の現状からは、具体的なバス転換の作業については相当な困難を伴うと考えています。
吉田:地方でも知恵を絞って頑張ればなんとかなると思っているので、その点は気にしていません。鉄道の価値は街に活力を与える点にあると思います。弊社では40分間隔で列車を運行していることで学生さんが安心して利用できることから、那珂湊高校の生徒さんの確保にもつながっています。
しかし、以前、ある鉄道関係者が視察にいらした際に、業界の体質を象徴する質問をいただきました。「さっきの列車に乗客が10人しか乗っていなかったが、運行の必要があるのか」と。
「10人しか乗らなくても10人の生活を支えている」
伊東:地方の衰退については、戦後の高度経済成長期に農村部から大量の人口が東京や大阪に流出したことから始まっていたと思います。鉄道の意義は大量輸送だと言われ続けていますが、それを地方の鉄道が目指したところで不可能です。吉田さんの話ではないですが、10人しか乗らなくても、その10人の生活や教育・医療へのアクセスを支えていることに意味があると考えています。鉄道をなくしても、今度は道路の社会的コストに直面することになります。えちぜん鉄道には大きな投資が行われましたが、それで財政が悪化した自治体はありません。
地方創生を考える上でも、地域の将来を支える社会資本として鉄道を考える必要があると思います。
