かつて、岩道さん自身も総菜を買って帰ることに罪悪感を抱いていた。日本社会に今なお根強く残る、「母親は料理を作るべき」という空気が背景にある。
共働きが一般化した現在、「外で働く父親と家庭を守る母親」という前提はすでに崩れている。それにもかかわらず、家事や育児の負担はなお女性側へ偏りがちだ。
保育園で総菜受け取りサービスを利用する母親の1人は、「献立を考えること自体が負担。毎日同じものになりがちだし、今日の夕食は何にしようって、ずっと考えています」とため息をつく。
必要なときは外部サービスに頼ってもいい
岩道さんはこの状況にメスを入れる。
「おいしいご飯は私たちが作るので、その時間で子どもと向き合ってほしい。平日はサービスに頼って、心に余裕ができると、週末に子どもと一緒にご飯を作ろうという気持ちになるかもしれません」
必要な時に外部サービスを利用して、家族と向き合う余裕を残すことのほうが、結果として家庭を豊かにすると岩道さんは考えている。
少子化対策というと、児童手当や保育料の無償化など制度面に目が向きがちだ。しかし、現実には、夕方以降の数時間のあまりの大変さをはじめとする仕事と子育ての両立の困難さが、子どもを持つことのハードルを上げているように思える。
「本当は子どもがもう1人欲しかったけど、しんどくて諦めたという人も多いんです。こんなに大変なら結婚したくない、子どもも産みたくないと思う若い人もいます。でも、子育ては本当に尊くてすてきなことだと伝えたいですね」(岩道さん)
HAPPY-Weekdayが届けているのは、食事だけではない。疲れきった親たちが、子どもの話をきちんと聞けるようになるための時間であり、家族が少し穏やかに暮らすための「社会インフラ」なのだ。
