東洋経済オンラインとは
ビジネス

高性能AI「ミュトス」でサイバー攻撃が異次元のレベルに…最短"22秒"の爆速攻撃に「止めないIT」を優先する日本企業の盲点

8分で読める
アンソロピックのクロード ミュトスのイメージ
人間の速度を大幅に超えるAIの登場でセキュリティのあり方が激変している(写真:NurPhoto/Getty Images)
  • 増田 幸美 日本プルーフポイント チーフエバンジェリスト
2/6 PAGES
3/6 PAGES
4/6 PAGES
5/6 PAGES

クロード ミュトスなどのフロンティアAIの登場により、組織が対応するより速いペースでAIが悪用される時代になりつつある。

攻撃側のタイムラインと防御側のタイムラインが大きく異なっている(画像:筆者提供)

もはや、いかに早くパッチ適用するかということはナンセンスだ。

攻撃者がフロンティアAIを活用した場合、防御側の対応は間に合わない。攻撃側のエクスプロイト速度が24時間以下に短縮されているのに対し、防御側のパッチ適用には平均55日を要する。攻撃者は人間の確認を省いて高速化できるが、防御側は各段階で人間の確認を挟むため、両者の時間軸の差は人間の運用努力では埋められない。

重要なのは、人間が逐次承認を行う構造からの脱却だ。今後は、AIが内部で高速に検知・分析・封じ込めを回し、人間はその外側から監査やガバナンスを担う「ダブルループ構造」への移行が必要である。人間がリアルタイム処理を担うのではなく、「AIの判断基準を設計し、監督する側」へと役割を変えていくのである。

必要なのは「隔離前提」の経営判断

これから企業に求められるのは、「完璧に防ぐこと」ではない。

あらかじめ攻撃表面積を小さくし、残った攻撃表面積に対して、攻撃時にはどれだけ速く隔離できるか、リスクを低減できるかが勝負となる。今後は、「脆弱性検知までの時間」「システムを隔離するまでの時間」が取締役会レベルの指標になってくるだろう。

つまり経営陣は、これまでの「止めないIT(システムの可用性優先)」「メンテナンス時間最少化 」を捨てる必要がある。

「止めないIT」は、業務継続を重視する上では合理的な考え方だった。しかしAI時代では、その前提そのものが崩れ始めている。
場合によっては、

  • 即時ネットワーク隔離
  • AIによる自動封じ込め
  • 強制停止
  • 一時業務停止

を許容する経営判断が必要になる。また守るべき資産が多すぎると、対応も間に合わない。優先順位をつけてインターネットに接するシステムと、インターネットから分離するシステムも取捨選択する必要がある。

6/6 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象