こうしたリスクから、開発元のアンソロピック社は「人間による確認(Human-in-the-Loop)」などの利用制限を求めたが、米国防総省は制限なき軍事利用を要求した。
これを拒否した同社は、26年2月に政府から「サプライチェーンリスク(事実上のブラックリスト)」に指定される。アンソロピック側は即座に提訴し、裁判所の差し止め判断により一部利用は再開されたものの、法廷闘争は今も継続中である。
この騒動を契機に、米政府内では政府専用AI(ソブリンAI)の必要性やガバナンスの議論が加速した。AIモデルはもはや単なるソフトウェアではなく、「国家インフラ」として認識され始めている。
問題はミュトスだけではない
26年4月、アンソロピックは「クロード ミュトス プレビュー」を発表した。
このモデルは、自律的にソフトウェア脆弱性を発見し、エクスプロイト(脆弱性の悪用)まで設計および実行可能とされる。世界で最もセキュリティが堅牢とされたOSであるOpenBSDの重大脆弱性を発見したことでも話題となった。なお、この脆弱性は27年間、発見されなかったものだ。
だが、本質的に危険なのは「ミュトスだけ」ではない。現在のフロンティアAI競争は、OpenAI、アンソロピック、Google、中国系モデルなどが猛烈な速度で進化している。
