「イタリアやスペインでは日本以上のオーバーツーリズムが生じています。イタリアのベネチアでは歴史地区を訪れる観光客に入場料を課しているほか、タイのピピ島やフィリピンのボラカイ島などでは入島制限が行われています」(井門氏)
では、なぜ観光客は特定の場所に集中するのか。井門氏は、その入り口に「土地」をめぐる連鎖があると指摘する。
オーバーツーリズムと「土地」をめぐる負の連鎖
「日本の京都やスペインのバルセロナなどでは、オーバーツーリズムによって土地価格が上昇し、住宅の家賃も上昇しています。その土地の持ち主が土地を売って街を出ると、そこにホテルや民泊施設が作られ、さらにオーバーツーリズムがひどくなるというサイクルに入るのです」
観光客が増える→土地が値上がりする→住民が出ていく→その跡地にホテルが建つ→さらに観光客が増える
井門氏が挙げる京都やバルセロナは、この連鎖の典型例だ。問題は「人が増えたこと」そのものではなく、人の集中が住民を街から押し出していく構造のほうにある。さらに、と井門氏は続ける。日本ではこのサイクルが投資のあり方によって加速されているという。
「日本の場合は投資が短期主義で、観光投資でも一極に集中しています。土地が値上がりする中でキャピタルゲインを狙うので、短期で投資を回収する必要が出てきます。となると、短期で稼げる東京都心部、大阪、京都、沖縄などにホテルを建てることになり、もともと人が集まっていた場所にさらに人が集まるサイクルができるのです」
