セブン&アイ・ホールディングスが27日に開いた株主総会で、取締役の報酬総額の上限を年間25億円へと引き上げる議案が承認された。同社の株価は下落傾向にあり株主の目も厳しくなる中、報酬を引き上げて獲得した幹部人材が成長をけん引し、米国など海外事業を立て直せるかどうかが焦点となる。
招集通知によると、グローバル経験や高い専門性を持つ幹部人材を登用し、競争力を維持する目的という。同社は昨年も報酬総額を10億円から20億円に引き上げていた。報酬は固定報酬と業績に連動する賞与に分かれる。有価証券報告書によれば、スティーブン・デイカス氏の前期(2026年2月期)の報酬は14億7200万円だった。社外取締役の報酬上限は年5億円を維持する。
一方でセブン&アイ株は下落基調にあり、足元では1800円台前半と年初来で約2割下がった。総会では株主から、市場の評価を得られない中、再任はあり得ないとの強い批判の声も上がった。
デイカス氏は昨年5月に就任して以降、主要市場である米国をはじめ海外のコンビニ事業の成長に注力している。外国人旅行客に人気の玉子サンドなど、国内で培った食品のノウハウを生かすことが軸だ。
一環として、効率的な本部機能やグローバル人材の獲得を主張してきた。ただ前期の米国事業は減収となっており、同国子会社の上場も延期となった。
デイカス氏は株主総会で、株価下落の背景に米イラン紛争があると説明。投資家はインフレや原油高が消費行動にもたらす影響を懸念しているという。消費者を支える取り組みに引き続き取り組むとし、「危機が終わった時には、ブランド価値を押し上げていく基盤となるお客様のロイヤリティが獲得できている」と述べた。
後任探し
米国法人で20年以上にわたって最高経営責任者(CEO)を務めたジョセフ・デピント氏が昨年12月に退任しており、新たなかじ取り役が求められている。後任は世界的な経営幹部人材採用会社を起用して選定を進めているとしている。
デピント氏に対する報酬は前期に134億1700万円で、東京商工リサーチは有報で開示された役員報酬額として過去最高だと報じた。このうち、退職時に支給される特別手当が103億6800万円だった。
デイカス氏就任後の主な人事では、4月に高木哲也最高財務責任者(CFO)を招いた。森永製菓でCFOを務めた経歴があり、株主総会で取締役への選任が承認された。
また3500億円の資本準備金を「その他資本剰余金」へ振り替える議案も承認された。分配可能額の充実を図るなどが理由。同社は30年度までに総額2兆円の自社株買いを行う計画だが、今期(27年2月期)の取得枠は公表していない。
著者:吉田昂
