動物へのエサやりそのものを直接禁止する条文はありません。しかし同法には、「周辺の生活環境に悪影響を及ぼす行為を防ぐ」という目的があります。次のような点が重なり、「悪質」と判断されたと考えられます。
■ハトやカラスなどの野鳥が集まり、衛生面や生態系への悪影響が懸念された
■周辺住民に具体的な生活被害や強いストレスが生じていた
善意が「迷惑行為」に変わる
「お腹をすかせていてかわいそうだから」と、野生動物にエサをあげたくなる気持ちは、多くの人が持っていると思います。実際、エサやりの多くは、動物を助けたいという思いから始まります。
しかし、各自治体は以前から「野生動物への安易なエサやりは控えてほしい」と呼びかけてきました。その理由は、単なる近隣トラブルにとどまりません。生態系への影響や人への被害、動物自身の健康悪化につながる可能性があるためです。
動物愛護法自体は、「命を大切にすること」と同時に、「人への危害や周辺への迷惑を防ぐこと」も目的としています。つまり、「かわいそうだから助けたい」という気持ちそのものを否定しているわけではなく、問われているのは、その行為が周囲の人や動物自身にとって、本当に良い結果につながっているかという点です。
周囲から苦情が出ても続ける、大量のエサを置いたまま放置する、結果的に動物を特定の場所に集めてしまうといった行為は、たとえ「善意」で始めたことであっても、続けばそれは「迷惑行為」へと変わっていきます。
さらに、行政の勧告や命令を無視し続けた場合には、法的責任を問われる可能性もあります。
今回の2つのケースは、その現実を示した出来事であり、これをきっかけに全国で検挙が進むことが予想されます。
