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「あのメールさえ開かなければ…」 降格・減給・業界追放…フィッシング詐欺で人生が崩壊した46歳営業課長の末路

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AI時代のセキュリティ教育 なぜサイバー攻撃から企業を守れないのか?
スマホに届いた一通のメールをクリックし、佐藤さんの人生は変わってしまった(写真:Supatman/PIXTA)
  • 坪井 暁人 LRM取締役セキュリティ事業本部本部長・CISO
  • 藤居 朋之 LRM執行役員コーポレート部部長・CCO
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「諭旨解雇に近い形だが、情状酌量で降格処分とする。来月付で、資材倉庫の在庫管理担当へ異動だ。……営業部に戻ることは、もうないと思ってくれ」

出世コースからの完全な脱落。そして、大幅な減給。事実上の追放。家族を養い、住宅ローンを抱える46歳の男に、組織は「戦犯」の烙印を押して切り捨てた。

色褪せる「頼れる父」

その夜、リビングでの空気は鉛のように重かった。

「……倉庫への異動?給料も3割カット?」。

妻の声が震えている。

「ごめん。でも、会社には残れたから。なんとか生活は守るから……」

「あなた……」

そこに、大学合格が決まったばかりの娘が帰ってきた。重苦しい空気を感じ取る。

「パパ?どうしたの?」

佐藤は娘の顔をまともに見られなかった。入学金はなんとか払えるだろう。だが、住宅ローンの借り換えや、老後の計画はすべて白紙だ。何より、これまで娘に誇ってきた「最前線で働くパパ」は、もういない。

「パパ、なんか小さくなったね」

その無邪気な一言が、どんな罵倒よりも佐藤の心をえぐった。妻は通帳を開いたまま、深くため息をついた。その背中は、怒りよりもあきらめに支配されていた。娘は軽蔑の目を向けることもなく、ただ気まずそうに視線を逸らし「……パパ、ご飯冷めるよ」とだけ言った。

罵倒されるほうがマシだった。築き上げてきた「頼れる父」の像は、音を立てて崩れるのではなく、静かに、そして確実に色褪せていった。

翌月から、容赦ない現実が襲ってきた。住宅ローンのボーナス払い月。会社の業績悪化と自身の処分により、ボーナスは支給されなかった。毎月の給与も手取りで十数万円下がり、生活防衛のために自家用車を手放さざるを得なかった。

「マイホームだけは守る」。そう決意したが、それは「この会社にしがみつくしかない」という鎖でもあった。

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