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「あのメールさえ開かなければ…」 降格・減給・業界追放…フィッシング詐欺で人生が崩壊した46歳営業課長の末路

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AI時代のセキュリティ教育 なぜサイバー攻撃から企業を守れないのか?
スマホに届いた一通のメールをクリックし、佐藤さんの人生は変わってしまった(写真:Supatman/PIXTA)
  • 坪井 暁人 LRM取締役セキュリティ事業本部本部長・CISO
  • 藤居 朋之 LRM執行役員コーポレート部部長・CCO
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再就職活動も試みたが、現実は冷酷だった。エージェントに登録しても、紹介案件は皆無に等しい。表向きのニュースに彼の名前は出ていない。しかし、狭い業界だ。「あの大規模障害の原因を作った管理職」という噂は、人事担当者の間で共有されていた。

「佐藤さん、これ以上の条件を望むなら、未経験の業種に行くしかありません」

エージェントの言葉は、彼に「業界追放」を宣告するものだった。一度貼られた「リスク人材」というレッテルは、デジタルの海を越えて彼を縛り付けていた。

崩壊した人生

ある雨の日の昼下がり。佐藤は、薄暗い物流倉庫の休憩室で、コンビニのおにぎりを1人で食べていた。

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「……ごちそうさまでした」

誰に聞かせるわけでもなくつぶやき、彼は作業着のヘルメットを被り直した。定年まであと15年。この単調な作業と、周囲からの「あの失敗した人」という視線に耐え続ける日々が続くのだ。

あの日、あのとき、あのメールさえ開かなければ。あの「確認」をおこたった代償は、彼のキャリアとプライドのすべてだった。

一方、地球の裏側では、攻撃者Kがモニターを見つめ、短く舌打ちをしていた。佐藤の会社が「身代金の支払拒否」を選択したからだ。

「……交渉決裂か。時間の無駄だったな」

Kは感情を動かすことなく、マニュアルに従って佐藤の会社のデータを完全破壊するコマンドを実行した。そして、すぐに別のターゲットから得た莫大な報酬を確認し、満足げに微笑んだ。

彼にとって、佐藤健一という1人の男の人生が、あの日を境に崩壊してしまったことなど、業務日報の1行にも満たない、取るに足らない出来事だった。

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