「高体温が続くほど死亡率や後遺症のリスクが高まります。最も効果的なのは、氷水を入れたビニールプールなどに全身を浸す方法です。ただ、水風呂をつくるには約30~40㎏の氷が必要ですので、それが難しければ、冷たいホースの水を全身にかけて送風したり、氷水に浸したタオルを絞らずに全身にまとわせたりして、できるだけ早く体温を下げることが重要です」
そのためには、緊急時を想定した備えも欠かせない。ホースが活動場所まで届くか、すぐに氷を確保できるかといった点まで含めて、事前確認が必要になる。学校によっては、業務用冷凍庫を導入し、製氷機で作った氷をストックしているケースもあるという。
また、部活動の夏合宿についても、「毎年恒例の合宿場所が、気候変動の影響で『避暑地』とは呼べない状況になっているケースもあります。『これまでは大丈夫だったから』と過信せず、客観的な視点で熱中症のリスクを見極めなければなりません」と細川氏は話す。
「運動は原則中止」の日はどうする?
環境省・文部科学省『学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き』では、WBGTが31度を超える環境において「運動は原則中止」の指針が示されている。しかし近年は、その数値を超える日も珍しくない。こうした環境での活動について、細川氏は競技性や年齢によって判断を分ける必要があると話す。
「小学生のレクリエーションとしての運動であれば、涼しい場所での別メニューを考えるほうが現実的です。一方、高校生などの競技スポーツでは、時間を短縮し、休憩や積極的な身体冷却を取り入れたうえで活動強度を調整すれば、限定的な実施が可能な場合もあります。アメリカではWBGT33度を上限とする地域もありますが、31度から32度台では練習を1時間以内にとどめ、その半分以上を休憩や冷却に充てることが条件となっています」
