朝練と午後練などの二部練習についても、細川氏は海外事例を踏まえながら慎重な運営を求める。
「アメリカの高校のアメフト部は、シーズン初めの2週間は暑熱順化期間とし、二部練習も最初の1週間は禁止。2週目以降に実施する場合も、練習の合間には3時間以上の冷所休憩を義務付けており、翌日は1回のみの練習にとどめています。また、午前の活動終了後、昼休みを挟んですぐ再開するのではなく、冷所でミーティングを行うなどして体を休める時間を十分に取る必要があります。日本も夏休みは合宿がある学校も多くスポーツシーズンですが、強度の高いメニューが連続しないように配慮すべきです」
従来の活動を見直す時代、熱中症対策を「教育」に
細川氏は自らのチームの研究結果を踏まえ、「気候変動が進行すればこれまで通りの活動実施は困難となり、早朝練習の導入や屋外練習の削減といった対策だけでは不十分」との見解を示している。そのうえで、大会や練習の年間スケジュールの変更、屋内運動場の整備、夏季のより涼しい地域での活動といった、より抜本的な対策の必要性に言及している。
「学校現場での熱中症対策は、もはや『従来通りの活動ありき』で考える時代ではなくなってきています。時間割についても、今後は残暑の時期も含めて暑さの厳しい時間帯には体育の授業を入れないなど、学校全体で調整する必要があります」
保護者も学校任せにせず、日頃から子どもの睡眠や食事の状況に気を配り、水筒や日傘を携行させるといった地道な取り組みが欠かせない。そして、教員や保護者も含め、部活動に携わる大人は「各競技団体が出しているガイドラインにも注目してほしい」と細川氏は話す。
「メディカルスタッフや設備が整ったトップレベルの現場ですら、暑さで活動を制限しているなら、それより条件の厳しい学校現場で活動する危険性をもっと真剣に考える必要があります。子どもたちにスポーツをさせたいのであれば、安全対策にも同じ熱量で取り組まなければなりません。予算を確保し、環境の最適化を進めるのは大人の責任です」
最後に細川氏は、熱中症対策を「教育の一環」として捉える意義を強調した。
「今の子どもたちにとって、異常気象の中で生活することは今後日常になります。どのような状況が危険で、どうすれば熱中症を防げるのかを伝えることで、自分の身を自分で守れる力を育てていく必要があります。WBGTを測ること、自分の汗の量を知ること、冷却方法を学ぶことも含め、熱中症対策そのものを教育にしていくことが、これからの学校現場には求められています」


