日本であれば、新しい職場に入ったら、まず上司から事細かに仕事内容を説明されるのが一般的でしょう。
しかし、「スポーツ360」は違いました。会社側からの指示はほぼゼロだったんです。
入社3日目、フォルカー会長に会社としての狙いを請おうとミーティングを依頼したら、こう説明されました。
「人に指図されていたら、いい仕事なんかできない。おまえが心から思うことに取り組め」
目から鱗が落ちるアドバイスでした。
自主性の大切さはわかっているつもりでしたが、改めて会長から言われて目指すべき方向がクリアになりました。
「とにかくやれることからやろう」と思い、ひたすら会社へ行って自分に何ができるかを考え、行動に移していきました。
「スポーツ360」に所属する代理人はドイツ中、そして世界中に散らばっており、代理人20人強のうち会社に来るのはケルン近郊に住む4、5人のみ。在宅勤務、そして出張で各地を飛び回るのが当たり前です。
そういう中、資料整理ならすぐにできると思い、獲得候補選手のリストを作ったり、会議の資料が見栄えしなかったら整えたり、貢献できることを探し続けました。
サーシャ社長の家に荷物が届くときに、代わりに留守番をして受け取ったこともありました。
「年齢」ではなく「能力」で決まる世界
会社にはアジア出身者はいなかったので、「アジア人がサッカーの本場ヨーロッパで何ができるんだ?」と懐疑的に見られていた部分も大いにあったと思います。
ただ、日本と決定的に違ったのは「年齢で判断されない」ということでした。
日本にいるときは年功序列の文化が残っており、強化担当者に連絡しても相手にされないことがありました。悔しい思いもたくさんしました。
一方、「スポーツ360」、そして欧州の風土は完全な能力主義です。
