「何事においても一番は気持ちいいが、短期的な結果では一喜一憂しない。これから5年10年、こういったポジションをとり続けるために何をすべきかを冷静に見つめていく」
ソフトバンクグループ(SBG)は5月13日、2025年度の通期連結決算を発表した。出資先である米オープンAI株の評価額が急上昇したことで、税前利益は6兆1349億円(前期比3.6倍)、最終利益は5兆0022億円(前期比4.3倍)に達した。
SBGは20年度に自社が記録した日本企業における過去最高益(4.98兆円)を更新し、国内企業として初めて「最終利益5兆円」の大台を突破した。この日開かれた決算会見で、後藤芳光CFO(最高財務責任者)は冒頭のように受け止めを語った。
AIブームに乗り復活を遂げる
目下、「10年後にASI(人工超知能)の世界最大のプラットフォーマーになりたい」(孫正義会長兼社長)とのビジョンを掲げ、“AI一点集中”で巨額投資を加速させるSBG。孫氏はASIが将来的に実現すれば、全産業が一変すると予測。AIに関わるインフラ、モデル、サービスといった事業基盤を全方位的に握る“胴元”を狙う構えだ。
25年は、まさにこうした大胆な戦略を象徴する1年だった。アメリカで巨大AIデータセンターを整備する「スターゲート計画」に参加し、オープンAIへの巨額投資を表明。半導体関連企業の米アンペア・コンピューティングを約1兆円で買収したほか、26年内にもスイスABBのロボティクス事業や、デジタルインフラ投資会社の米デジタルブリッジ・グループを買収すると決めた。
AIの開発、利用に必要な半導体やデータセンターといった「AIインフラ」から、オープンAIのようなAIモデル、AIを活用したソリューション、ロボットなどの「フィジカルAI」に至るまで垂直統合でAIサプライチェーン全体を押さえようとする戦略といえる。

今回の決算は、AI戦略の勢いとともに、市場に“復活”を強く印象付ける内容となった。21年3月期に4.9兆円の最終利益を叩き出した後は、世界的な金融引き締めやウクライナ情勢悪化に伴う株式市況の低迷を受け、投資事業が軟調に推移。過去に巨額出資していた米ウィーワークの経営破綻問題なども重なり、24年3月期まで3期連続で最終赤字に苦しむ局面を経験した。こうした長い守りの期間を経て、AIブームによるテクノロジー潮流の転換を奇貨として再び攻勢に転じた格好だ。
もっとも、国内企業初となる5兆円の利益突破という華々しい実績とは裏腹に、SBGの先行きには不透明感や懸念も漂う。次ページからは、特殊な収益構造から見えた25年度決算のポイント、今後の成長を占う焦点を紐解いていく。
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