しかしSNSへの没入は、ただの楽しいストレス解消ではなかった。それはマスクのビジネス戦略に欠かせないパーツとなっていったのである。彼は長年、ネガティブな報道を自分への個人的な攻撃として受け止めており――かつてそれを「ピストルのグリップで殴られるようなもの」とたとえたことがあり――自分や自分の会社について批判的に書くジャーナリストには、何か裏の動機があるのだと主張していた。ソーシャルメディア上であれば、彼は見出しに対して反撃し、言説をコントロールすることができた。
「Twitterであれば、人々に直接語りかけることができる」
マスクは2016年にスペースXの幹部にそう語っている。新聞のようなメディアの伝統的なゲートキーパーをショートカットすることで、彼は投資家たちを自分の世界へと深く引き込み、新製品や新機能への熱狂を焚きつけることができた。
ジョークで市場を弄ぶ
彼のコミュニケーション・スタイルは常に未来予言的なものだった。夢物語を語ってお金を出させる「金融ファビュリズム」は、想像上の未来を「すでに進行中」のものとして扱い、その未来で基盤となるテクノロジーが成熟する前に、投機的な主張によって市場を動かすというロジックだった。批評家のフィル・ジョーンズは次のように指摘している。
「疲弊した市民の目の前に輝かしい未来の約束をぶら下げたソビエト連邦のように、マスクの成功も常に『あと10年先』にある崇高な科学技術の予測をぶら下げることで維持されているのだ」
しかしTwitter上では、こうした予測で即座に市場への影響を生むことができた。2018年、マスクは「テスラを420ドルで非公開化することを検討している。資金は確保した」とツイートした。これはマリファナを示す420という隠語を使ったジョークだったが、投資家たちは真に受けてしまった。果たしてテスラの株価は11パーセントも急騰した。これを受け、証券取引委員会から訴訟を起こされたマスクとテスラは、それぞれ2000万ドルの罰金を支払うことになった。それでも、この一件は彼のツイートがいかに素早く市場を動かせるかを示す初期の事例となった。
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