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なぜ80代女性は「顔が浸からない風呂」で溺死したのか…遺族の疑問を解いた法医解剖医が語る"入浴中の事故死"の怖さ

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(写真:PIXTA)
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「溺れようがないほど低い水位の風呂で、母はなぜ溺死したのか?」

遺族からのこの疑問に、警察は答えられなかった。だからこそ、本事案は死体検案に回ってきたのです。

そのような前提を踏まえて死体検案を行ったところ、死因はやはり「溺死」で間違いありませんでした。CTをみると肺や気管に水が入っており、肉眼でもそれを確認しました。外傷も一切なし。心臓血の採血もしましたが、異常はありません。であれば、溺死であるとの結論にいたるのが妥当です。

死亡診断書の死因は〝4段階で表記する〟

ちなみに、「死因は溺死である」と述べましたが、死因はそもそも1種類とは限りません。死亡診断書には「死因」の欄がア・イ・ウ・エの順に4段階あることは、一般にあまり知られていないのではないでしょうか。

謎の溺死を遂げた80代女性の場合、私は下図のように死因欄を記しました。

(画像:『法医学教授が教えている 死体の授業』)

死因の欄が4段階あるのは、死にいたるプロセスをわかりやすく共有するため。死亡の原因を、下からエ→ウ→イ→アの順に記します。

この女性の場合は、入浴中に体温が上昇し熱中症となり(エ)、意識障害を引き起こし(ウ)、顔面が水没したあと水を吸い込んで気道が塞がったため(イ)、窒息(ア)によって死にいたった、となります。

死因欄の書き方は診断した医師によって異なるため、ウとエになにも書かず、「ア 窒息」「イ 溺水」と簡潔にすませる場合や、さらに簡単に「ア 溺死」と書く法医解剖医もいるでしょう。

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