アップルは長年、この時期に合わせてアクセシビリティ機能のアップデートを公表してきた。WWDCで発表される新OS(基本ソフト)の一部として埋もれさせるのではなく、独立した発表として位置づけている点に、同社のスタンスが表れている。
アップルが大切にしているのは、「障がいは、誰にとってもひとごとではない」という考え方だ。世界には何らかの障がいとともに生きる人が13億人いるとされる。加齢によって視力や聴力が衰えることもあれば、事故や病気で当事者になることもある。誰でもいつかは支援を必要とする可能性がある、という発想が出発点にある。
「全員のために作る」という発想
アップルがアクセシビリティ機能の設計思想として一貫して掲げているのが、「アクセシビリティを念頭に設計すれば、結果的にすべての人にとってより良い製品になる」という考え方だ。
実際に、今回発表された機能を見ると、対象は決して限定的ではない。動画への自動字幕生成は、聴覚に困難を抱える人だけでなく、電車内で音を出せない人、騒がしいカフェで動画を見たい人にも便利だ。
拡大鏡が想定する場面も、視覚に困難を抱える人だけのものではない。海外旅行先で外国語のメニューを読みたい場面、空港で搭乗ゲートを探す場面、薬局で似たような薬の見分けがつかない場面など、誰にでも起こりうる日常の困りごとに直接利く。
音声コントロールも同様だ。手がふさがっている料理中や、運動中、子どもを抱っこしているとき。一時的に手が使えない場面は誰にでもある。ボタン名を覚えなくても見たままの言葉で操作できるようになれば、日常の細かなストレスが減る。
「障がいのある人のための機能」と「全員のための機能」の境界線を、アップルは引かない。アクセシビリティを起点に設計したものが、結果的に万人の利便性を底上げしていく。これがアップルの製品づくりの根幹にある発想だ。
過去にも、こうした例は枚挙にいとまがない。テレビの字幕は耳が聞こえない人のために生まれたが、いまや飲食店や空港、ジムなど音を出せない場所での視聴に欠かせない。
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【Apple Intelligenceの活用方針】
