熱中症による救急搬送が5月から静かに増えている。安全なはずのエアコン付きの室内で、高齢者が暑さを感じないままに意識を失う――。なにが起こっているのか。
エアコン付きの部屋で倒れ
救急隊が部屋に入ったとき、まず目に入ったのはエアコンだった。確かに冷房は運転中だ。だが、窓が開いていて、蒸し暑い外気が流れ込んでいる。その室内で、高齢者は長袖・長ズボンのまま倒れていた。
別の現場では、冷房はついてはいたが、住人の高齢者が厚い布団をかぶったまま、意識を失っていた。エアコンはあるのに、スイッチが入っていなかったケースも珍しくない。
安全なはずの室内で熱中症になり、救急搬送される高齢者が増えている。
異変に気づき、119番通報するのは家に帰ってきた家族や訪れた親類というケースがほとんどだ。
冒頭の事例はいずれも横浜労災病院・救命救急センターの中森知毅医師が、救急隊員から聞き取ったものだ。
中森医師は、高齢者の熱中症を長年診てきた救急医で、日本救急医学会の熱中症研究にも関わってきた。
横浜労災病院がある横浜市港北区は、65歳以上の高齢化率は20%ほどで、「高齢化が特に進んだ地域ではない」(中森医師)。だが、救命救急センターに運ばれてくる熱中症患者のほとんどは高齢者だ。
多くは、自宅の室内で倒れていたという。
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【熱中症搬送の半数超が「住まい」で発生】

