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Google Pixel 10周年モデル「Isai Blue」、グーグルが"性能以外"で勝負した日本限定スマホの狙い

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トークイベントの様子
5月11日、盛岡のヘラルボニーが運営する施設「ISAI PARK」でGoogle Pixel 10a日本限定 ヘラルボニーコラボモデル「Isai Blue」の発売を記念してトークイベントが行われた。Google Pixel 製品企画アジア太平洋事業統括 リージョナル ディレクターの阿部和子(右)はGoogle社のミッションステイトメントを引用して改めて同社が「世界中の人々」をターゲットにした会社であることを強調した。左は株式会社ヘラルボニー 執行役員 兼 アカウント事業本部統括の國分さとみ(写真:グーグル/ヘラルボニー)
  • 林 信行 フリージャーナリスト、コンサルタント
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「ヘラルボニーさんのアートとかデザインって、アーティストの方の力というか、異彩をすごく大切にされている。この作品に触れた時に、本当に心を動かされる。うわ、これすごいっていう、言葉にならない感動というか」と阿部氏。

「Pixel 10周年の新しい挑戦として、ヘラルボニーの力強さ、人間味、可能性の力を借りることで、Pixelの新しい地平が開けるのではないか」と考えたという。

トークショーでヘラルボニー執行役員の國分さとみ氏は、阿部氏の話を受け「スマートフォンは人の可能性を広げるキャンバスである、と聞いた時に、『そっか、人間に向けて作っているんだ』と改めて気づきました」と語り、ヘラルボニーも同様に、従来の認識を変えようという取り組みを続けている点が似ていると感じたようだ。

「(我々は)障害のある作家の異彩を『助けたい』とか『かわいそう』ということ――支援の対象としてではなく、ただただ美しいアートとして、作家の存在を届けていきたいと思ってきました。

一人ひとりをエンパワメントしていくことがゴールになった瞬間があって、そうなった時に、私たちも違和感なく、日本限定プロダクトを一緒に作るという大きな挑戦に踏み出せるきっかけになったのかなと思っています」

両社は事業領域こそ大きく異なるが「一人ひとりの可能性を広げ、多様性を肯定する」という価値観でつながっている。

Googleは、最先端のAIとテクノロジーを誰もが使いやすく役立つものへと進化させ、一人ひとりが自分らしく活用できるスマートフォンとしてGoogle Pixelを開発することでそれを形にしてきた。

一方のヘラルボニーは、障害のある作家たちの表現や可能性を「異彩」として社会へ届け、既存の価値観や障壁を超え、新たな認識と共感を生み出すことで、それを形にしてきた。

今回、Google Pixel 10周年という節目に、そんな両社の共創が実現したのだ。

今回のIsai Blue開発で中心的役割を担ったプロダクトマネージャーで、メキシコ出身のパブロ・オカンポ。十数点のヘラルボニー契約作家の作品に目を通しIsai Blueの色を決めた1人。トークイベントでは、丁寧なヒアリングを繰り返し、作家の一人ひとりの個性を熱弁。その様子にヘラルボニーの國分氏も感動していた(写真:グーグル/ヘラルボニー)
一人ひとりの個性を尊重した「Isai Blue」では、3人のヘラルボニーアーティストの作品を使った壁紙やカスタムテーマで使う人の個性を表現できる。ただ壁紙を変えるだけでなく、よく使う標準アプリのアイコンやウィジェットの見た目までカスタマイズされる(写真:グーグル/ヘラルボニー)

Isai Blueに込められた思い

今回のコラボモデルで採用された色、Isai Blueという色には特別な意味がある。そもそも青は自閉症啓発デーのテーマカラーであり、ヘラルボニーのブランドカラーでもあるが、そうした青の中でも、今回はヘラルボニーアーティストの1人で岩手県のるんびにい美術館に所属する作家・工藤みどりの《(無題)(青)》の青色が選ばれた。

工藤の制作には、瞑想から生み出されるような果てしなさがある。完成形を目指してではなく、思いのままに打っていく点描や短い線の集積。本人にしか見えない世界に深く没入していくその筆致から生まれた青が、筐体色のインスピレーションとなった。再生プラスチック素材などを多用するPixel 10aで、この色を正確に再現するにはそれなりの苦労もあったようだ。

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【「ありのままの異彩を肯定する」という精神を画面上でも表現】

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