前モデルのGoogle Pixel 9aはグッドデザイン賞を受賞時、「ガジェット特有の異物感がなく、これこそスマホのスタンダード」との高評価を得たというが、それこそがGoogleが目指してきた「自然に日常へ溶け込む」という設計思想の理想通りだったと阿部氏は言う。
今回、そのフィロソフィをさらに推し進めたのがGoogle Pixel 10aだ。
最大の特徴は、カメラの出っ張りをなくし背面を完全にフラットに仕上げた洗練されたデザイン。手にした時の重量バランスは完璧で、ポケットにもすっと収まる。
ディスプレイは直射日光の下でも見やすい明るさまで上がり(ピーク輝度3000ニト相当)、画面のちらつきを抑えた目に優しい仕様になっている。
バッテリーは普段使いでも30時間以上、消費を最大限抑えるモードに切り替えれば最長120時間持続する。水深1.5メートルに30分間沈めても、砂やほこりにさらされても壊れない防水防塵性能も備えている(IP68準拠)。
最新のAIを搭載したカメラは、全員のベストの表情を自動で選び出す「オートベストテイク」、構図のヒントをくれる「カメラコーチ」などの機能も用意されている。またaシリーズ史上最も高い耐久性を誇る一台に仕上がっている。
しかし、阿部氏の問題意識はその先にあるという。
AIとスマートフォンの研究開発は、日々切磋琢磨で最先端を更新していく。その進化のスピードはあまりにも速く、「どんどん人間味がなくなっちゃうというか、技術が技術をオプティマイゼーション(最適化)していく」――一生懸命人に合わせようとしているのに、人っぽくない。Pixel 10周年にGoogleが向き合ったのは、この矛盾だった。
何かを足さなければいけないとしたら、それは性能ではなく「人間味」なのかもしれない。
両社をつないだ価値観
その問いに、阿部氏は一つのブランドを思い出した。岩手県盛岡市に本社を置くヘラルボニー。「異彩を、 放て。」をミッションに、障害のある作家が描く2000点以上のアート作品をIPライセンスとして管理し、正当なロイヤリティを支払うことで持続可能なビジネスモデルを構築してきたクリエイティブカンパニーだ。
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【「新しい挑戦」としてのヘラルボニーとの共創】
