この文書以前にも高校の特色化、魅力化というのは、各地で叫ばれてきた。とりわけ、人口減少・少子化が著しい地方、もしくは私立との競争が激しい都市部では、公立、私立問わず、高校の生き残りをかけて、魅力化に邁進してきたところは多い。
特色づくりや魅力化という言葉は美しく、反対しにくいものがある。だが、そこに死角はないだろうか。私が注目するのは負担や負荷の問題で、ここでは教職員の負担と子どもたちの負担の2つに分けて考える。
教職員の負担増には冷淡な文科省
教職員の負担の問題はわかりやすい。ここ10年余り、国、教育委員会あげて学校の働き方改革は推進されてきた。
文科省等の施策の多くは公立を対象としたものだったが、私立学校でも、労働基準監督署が指導に入ることが増えたことや人材確保の必要性から(教員不足は私立でも起きている)、教職員の働き方に配慮する動きは広がった。学校ごとにかなりの差はあるし、まだまだ問題も多いものの、公立、私立ともに、一定の負担軽減は進みつつある。
だが、ここ数年の高校の魅力化の動き、高校教育改革により教職員の負担が大きくなっている。SSH(スーパーサイエンスハイスクール)などのモデル事業では、外部講師を招聘したり、生徒が校外で学習したりするための資金支援を受けられるメリットはあるものの、学校側、教職員側にはさまざまな調整や事務作業が発生している。
こうした高校では、大学進学実績なども、教育委員会や保護者から厳しく見られるため、もともと熱心だった補習や進路指導にもさらに力を入れることになりやすい。
「探究公害」という言葉もあるくらい、高校生の探究活動(準備不足のインタビューなど)に大学教員ら専門家の時間が奪われることが問題視されているが、この背景には高校側にもゆとりがないこともある。
文科省は今般、3000億円近くという未曽有の予算を投じて高校改革の基金を作り、モデル事業を展開する構えだ。しかも国費100%で、自治体負担がないという大盤振る舞いである。こうした予算で、各種調整を行うコーディネーターを雇ったり、事務局業務を外部委託したりする方法もあろう。
だが、多額の国費を使う以上、また高校生がトラブルに巻き込まれるのを防ぐためにも、高校側も当然丸投げというわけにはいかず、負担が重くなることは想像できる。
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【子どもも忙しい…7時間目や土曜授業は必要か?】

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